【図】に示す各形状について、以下に示します。
- (a)
- 基本的な使い方です。丸パンチの基本的な使い方から変化した形です。パイロット先端は可動ストリッパの可動量に比例します。金型メンテナンスのときには取り外しが面倒です。
- (b)
- 機能は基本形そのままです。金型メンテナンスを配慮して、分解をしやすくしているところが特徴です。
- (c)
- 基本形の形でミスパンチをすると、パイロットで材料を突き破ってしまいます。それが原因で金型を壊してしまうことがあります。その対策として、パイロットの後ろにスプリングを入れて、ミスパンチしてパイロットに大きな負荷がかかったときにスプリングが圧縮され、材料の突き破りを回避します。スプリングが弱いと正常な状態でもスプリングがたわみ、位置決め精度が悪くなることがあります。注意が必要です。
- (d)
- 基本形はパイロットパンチをパンチプレートに固定します。そのために、パイロットへのダイへの張り込みが深くなります。ダイへの入り込みが不覚なることは、パイロットで長い時間材料をこすることになり、パイロット穴の変形や材料の吊り上げの原因となることがあります。この現象を回避して、ミスパンチの際の材料突き破りも回避した構造です。パイロットの段部をストリッパ面に当てているところが特徴です。スプリングに対する注意は(c)の構造と同じです。
- (e)
- ストリッパ固定のパイロットの基本形です。ストリッパに固定することで、パイロットの突き出し量を一定に保つことができます。固定を押しねじで行っています。ねじがゆるみやすいのでダブルにすることがよいのですが、スペースの関係から難しい場合が多いことが欠点です。
- (f)
- ストリッパ固定のパイロットですが、ストリッパバッキングを使用して後ろを押さえるようにした構造です。(e)の構造に比べて作りが簡単になっています。
- (g)
- パンチ固定のパイロットですが、パンチの再研磨を行いやすくするためにパイロットの着脱が簡単にできるようにした構造です。
- (i)
- 大きなパンチでは、パンチの上にボルトとノックピン(ダウエルピン)で固定する構造の形です。ノックピンの脱落に対する注意と、パイロットを外す時にノックピンが簡単に外せるように工夫することがポイントです。