プラスチック射出成形金型を成形加工で使用しておりますと、スライドコアやエジェクタピン、エジェクタスリーブとセンターピンなどが「かじり」を生ずることがあります。
「かじり」は、摺動面の異常磨耗のことで、異常磨耗には発生原因によって、以下のような分類がなされています。
■1. アブレシブ磨耗
摺動する金型部品の材質に硬度の差がある場合に生じやすい異常磨耗形態です。
硬い材料が柔らかい材料に食い込んでひっかき(スクラッチ)を起こし、焼きつく現象です。
■2. 凝着磨耗
金型部品の凸部分がぶつかり合って最も接触が激しい箇所が凝着を起こし、凝着部分が脱落して磨耗粉になり、磨耗が進行する形態です。
■3. 疲労磨耗
金型部品が動いたり停止したりを繰り返すことによって疲労が発生し、磨耗する形態です。
うろこ状の剥離(フレーキング)を生じている場合の形態です。
■4. 微動磨耗
比較的クリアランスの小さなはめあい状態においてピッチング状の磨耗を生ずる磨耗形態です。
スクエアキーとキー溝に生ずることが多いです。
■5. 腐食磨耗
樹脂に由来する化学成分や水分、イオンなどの腐食雰囲気において、金型部品同士に電位差を生じることにより磨耗が発生する形態です。
かじりを生ずると、キャビティ、コアには致命的なダメージを生ずることになり、エジェクタピンやスライドコアが作動不良を起こすと、金型を破損することに直結してしまう危険があります。
かじりを防止するためには、潤滑管理を適切に行ったり、メンテナンスフリーの部品構造を採用する必要があります。