順送り加工では抜きと曲げが混在します。抜きを先行すると、曲げによって寸法がばらついてしまうことがあります。一般的には順送り加工では穴を抜き、外形を作り、その後に曲げるのが加工の流れです。
このルールを鵜呑みにして曲げを含む製品の順送りレイアウトをすると、穴ピッチ公差が厳しい製品などでは、バラツキによって泣かされることがあります。【図1】に示すようなイメージです。穴を挟んで2個所以上の曲げがあるときには、穴ピッチ寸法のバラツキを考える必要があります。特に例図のようなZ曲げでは、曲げ部の伸びが変動するので、穴ピッチに影響が出ます。
このようなことが懸念されるときには、面倒でも【図2】に示すように、ブランク形状を作った後に、曲げを先行して、曲げによる変動を出してから穴を抜くことを検討します。金型が大きくなるとか、メンテナンスが面倒になるといった点もありますが、常に不良の心配をするよりはいいと思います。
分かりやすいので、曲げと穴との関係で説明しましたが、曲げと外形の関係もあるわけです。ブランクを決めずに変動が考えられる部分を大きくしておき、曲げ後に切るレイアウトも必要なときがあります。外形を曲げ後に切るレイアウトとなった場合には、切り落とされる部分のかす上がりにも気をつける必要が出てきます。