パンチは【図1】に示すようにパンチプレートで保持され、加工に伴う加工力を軸方向に受けます。パンチプレートは水平方向の位置決めが目的ですから、軸方向にかかる圧力に対しては何の効力もなく、細いパンチではそのために、パンチホルダーに食い込むことがあります。このようになるとすきまができ、パンチはプレス加工のつど上下に動くようになり、つば部の破損原因となります。
パンチにかかる加工力を、パンチ背面の面積で割った平均面圧が16kgf/mm2を目安として、この値より大きくなったときには焼き入れしたバッキングプレートを、以下のときには焼き入れなしのバキングプレートを採用します。
固定ストリッパ構造の上型のプレート構成は【図2】に示すように、パンチプレート、バッキングプレート及びパンチホルダーの3枚構成になることが一般的です。バッキングプレートは前記した条件でプレートの質を選択して使用します。焼き入れしたバッキングプレートでは、薄いと面圧を受ける部分から割れが入ることがあります。また、焼き入れによるそりの発生は、そり取り作業に時間がかかる等の問題があります。そのため、焼きを入れるバッキングプレートの厚さは、10mm以上を目安に考えていた方が無難です。やむ終えない事情のときには5mmくらいまで薄くすることができますが、割れる可能性を含みます。
パンチホルダーは、固定ストリッパ構造では、上型をプレス機械のスライドに取り付けるための部品及びダイセットの上型ホルダーとしての役割が主体となります。厚さはクランプとの関係から決めます。ダイハイトを所定寸法とするために、パンチホルダの厚さを決めることもあります。
パンチはパンチプレートで平面方向の位置を決め、バッキングプレートで軸方向の圧力対策を施すと、つば付きのパンチをメンテナンスや交換のために外そうとすると、結構大変なことになります。全部分解しないと外せないからです。
上型を、分解せずに外せるようにした構造が【図3】です。押さえロッドを入れ、スクリュープラグで蓋をします。バックアップが必要なパンチでは、この押さえロッドを焼き入れします。スクリュープラグをダブルにして、ゆるみ止めをしっかりする場合もあります。