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“配る”から“取り出す”へ。手袋管理の工数削減に加え、使用量約20%削減も実現
ステアリングシステム、軸受、駆動部品、工作機械、電子制御機器などを手がける株式会社ジェイテクト。自動車産業をはじめ、幅広いモノづくりを支える製品・技術を展開している。
同社の亀山工場は、合併前の光洋精工株式会社が1990年に操業を開始した生産拠点で、軸受関連製品を中心に製造している。研磨、組み立て、品質検査、設備保全、包装・出荷といった各工程を通じて、高い品質が求められる製品づくりを支えてきた。
そうした製造現場で見直しの対象となったのが、日々使用する手袋の管理だ。月1回の集計・注文・配布を前提とした“配る管理”から、必要な人が必要なタイミングで取り出す運用へ。「MISUMI floow(フロー)」の導入によって、手袋管理はどのように変わったのか。株式会社ジェイテクト 亀山工場 工務部 日程課の村澤さま、製造部 第2生産課の小笠原さまに話を伺った。
ー目次ー
導入前の課題
導入の決め手
導入後の効果
社内の反応
今後の展望
月1回の集計・発注に加え、人員変動やサイズ変更への対応も負担に
亀山工場では、製造現場で使用する手袋を、従来はまとめて注文し、各課・各個人へ配布していた。手袋は日々の作業に欠かせない消耗品でありながら、作業内容や使用する人によって必要な種類・サイズ・数量が異なる。人員の増減や配置換えがあるたびに確認が必要となり、各課で一定の在庫を持つ運用も続いていた。
村澤さま:
以前は月1回、注文日の1週間ほど前に各課へメールを送り、必要な手袋の種類や数量を回答してもらっていました。その回答を集計し、メーカーへ注文するという流れです。
現場も多忙なため、締め日までに回答が来ない場合は、こちらから各課へ再度連絡する必要があります。本当は少しでも早く集計したいのですが、回答が締め日ぎりぎりになったり、忘れられていて翌日に再度お願いしたりすることもあり、そこにも工数がかかっていました。
また、新しく入られた方の分が抜けてしまったり、単純な計算ミスがあったり、手袋の種類を間違えてしまったりすることもありました。社員の顔ぶれはある程度固定されていますが、派遣社員の入れ替わりがあります。そうした人員の変動があると、各課から上がってくる手袋の種類やサイズ、数量も変わります。その内容を毎月確認し、集計する必要がありました。
小笠原さま:
現場では、新しく入った方がいる場合、その人に合う手袋の種類やサイズを確認する必要がありました。実際に使ってみてからも、大きすぎる、小さすぎるということもあります。以前はそうした場合、村澤さんに連絡して、「次からこのサイズにしてください」とお願いする必要がありました。そこから実際に手袋が届くまでには、どうしても時間がかかっていました。
足りなくなってはいけないので、工場内のさまざまな場所に手袋が置かれている状態でした。
見込みで注文していたので、思ったより使わなかった場合、在庫がいつまでも残っていることもありました。いずれは使うものですし、すぐに廃棄になるわけではありませんが、「ここまで余裕を持っておく必要があるのか」と感じる場面はありました。
村澤さま:
欠品によって生産に影響が出るところまではありませんでしたが、その分、各課や個人で在庫を持ってやりくりしている状態でした。
管理する側としては、毎月の集計や注文にかかる工数を減らしたいという思いがありましたし、各課で在庫を抱えている状態も何とかできないかと考えていました。
株式会社ジェイテクト 亀山工場 工務部 日程課 村澤京子 さま
在庫を持たない運用に期待。他社見学やサンプル評価を経て導入へ
手袋管理の工数や、各課で在庫を持つ運用を見直す手段として候補に上がったのが「MISUMI floow」だった。導入にあたっては、自販機による管理の仕組みだけでなく、現場で問題なく使えるか、従来使用していた手袋を置き換えられるかも重要な確認事項となった。
村澤さま:
最初は、役員から工場長に紹介があったと聞いています。工場長は海外での勤務経験もあり、海外の現地法人などではこうした自販機による管理の仕組みがあることを知っていたようです。そのため、一度話を聞いてみようという流れになりました。
私自身も、最初に話を聞いたときの印象は良かったです。これまで各課に確認し、集計して、注文していたものが自販機で管理できるようになれば、工数を削減できそうだと感じました。当社として在庫を持たなくてよいことも、大きなメリットだと思いました。
必要な人が必要な時に取り出せるようになれば、毎月まとめて配布する前提ではなくなります。各課や個人で余分に在庫を持たなくても運用できるのではないかと考えました。
実際の運用イメージを確認するために、すでに導入されている他社さんの工場も見学しました。実物を見られたことで、どのように使うのか、現場に置いたときにどう運用できそうかを具体的にイメージしやすくなりました。
ただ、不安が全くなかったわけではありません。扉が開くと多くの製品が取り出せるようになるので、違うものまで取ってしまわないかといった心配や、扱い方によって自販機を壊してしまわないかといった懸念もありました。汚れた手で触ることもあるかもしれませんし、現場で問題なく使えるのかは確認したい点でした。
小笠原さま:
現場側としても、便利そうだと思う一方で、本当に問題なく使えるのかという不安はありました。今までそうした運用をしてこなかったので、一人ひとりがきちんと認証して使えるのか、間違えずに取り出せるのかという声もありました。
手袋そのものについて、従来品からミスミの相当品に切り替えられるかも重要でした。使う側としては、やはり今まで使っていたものに慣れています。そのため、サンプルを試して、手に取った感触や使いやすさを確認しました。
すべてを切り替えられたわけではありませんが、使えるものについては問題なく運用できています。現場としても、必要な時に取り出せるようになり、余分な在庫を減らせるのであれば、導入するメリットは大きいと感じました。
村澤さま:
本当はすべてミスミの手袋に置き換えられれば管理しやすいのですが、特殊な手袋の中には、相当品が見つからないものや、コスト面で難しいものもありました。そのため、一部は従来から使用している製品を継続し、自販機に入れてもらっています。
導入時には、ミスミの担当者の対応が早かったことも助かりました。製品の確認や導入までの調整をスピーディーに進めていただけました。
最終的には、管理工数を減らせること、各課で在庫を持たなくてよくなること、必要な時に必要な分を取り出せることが大きな決め手になりました。現場側にも、在庫削減や工数削減のメリットを感じてもらえたため、導入に進むことができました。
株式会社ジェイテクト 亀山工場 製造部 第2生産課 小笠原 雄也 さま
管理工数を約80%削減。使用状況の見える化で、期待以上の使用量約20%削減にもつながる
「MISUMI floow」の導入により、亀山工場では手袋の集計・注文・配布にかかっていた業務が大きく削減された。導入前に想定していた管理工数削減に加え、使用量の見える化による意識変化も生まれている。
村澤さま:
導入後に一番大きかったのは、やはり工数削減です。導入前と比べると、管理工数は約80%削減できました。また、以前は集計や手配の中でミスが起きる可能性もありましたが、今は本人が必要なものを取り出すため、そうした間違いも起こらなくなりました。
小笠原さま:
現場として大きかったのは、人の入れ替わりやサイズ変更に柔軟に対応できるようになったことです。
今は自販機に行けば確実に在庫があるので、臨機応変に対応できます。月の途中で増員があった場合でも、その人に合うものをすぐに出せるので、現場としてはかなり助かっています。以前のように、必要以上に手元で持っておく必要もなくなりました。
村澤さま:
管理工数の削減は導入前からの期待通りでしたが、期待以上の効果もありました。それは手袋の使用量の約20%削減です。これは、正直ここまで減るとは思っていませんでした。
使用量削減につながった要因としては、自販機から取り出す形になったことで、必要以上に配ることがなくなったこと。また、日々の使用状況が「MISUMI floow」のシステムから送られる日報を通じて分かるようになったことで、一人ひとりが必要以上の取り出しを抑えようという意識変化もあったように感じています。
自販機に組み込まれているデジタルサイネージ(上記写真の赤枠部分)を活用して、導入効果を社内に共有する取り組みもおこなっています。使用量削減、工数削減、在庫削減といった効果をまとめた資料を作成・表示し、現場の社員にも分かりやすく伝えています。
自販機を使う人にも、なぜこの仕組みを導入したのか、どのような効果が出ているのかが伝わることで、現場全体で運用の意識をそろえやすくなったと感じています。
小笠原さま:
他のメンバーからは、自販機の使い勝手について「顔認証で使える点が便利」という声もあがっています。導入前は、現場で本当に使えるのか、自分が間違えずに操作できるのかといった不安もありましたが、実際にはスマートフォンの顔認証と同じような感覚で使えて、馴染みやすかったと思います。
ジェイテクトさまが社内向けに導入効果や導入メリットを共有するために実際に作成・活用されたサイネージスライド
現場が迷わない運用設計を前提に、対象品目の拡大を検討
手袋管理の工数削減や使用量の適正化に効果が見られた「MISUMI floow」。今後は、手袋以外の備品にも対象を広げることで、さらなる管理工数削減を目指している。一方で、品目を広げるには、現場が迷わず使える運用設計も重要になる。
村澤さま:
今後は、手袋以外の備品にも横展開していきたいと考えています。現在、製造技術の担当者と、チップ系統や近接スイッチなどを自販機で扱えないか、話を進めているところです。
ただ、こうした部品は、手袋とはまた違う難しさがあります。たとえば近接スイッチの場合、1種類だけ自販機に入れて、他の種類は現場にあるという状態になると、現場の担当者がどこに取りに行けばよいのか迷ってしまいます。入れるのであれば、その種類のものをまとめて自販機に入れる必要があると思っています。
分かりやすい運用を維持しながら、いかに品目を増やしていけるかが、今後の検討ポイントになっています。
小笠原さま:
たしかに現場では、必要なものを探す時間も意外と負担になります。置き場所が分かれていると、人によって確認する場所が変わることもあります。自販機に集約できれば、「まずここを見ればよい」という状態にできるので、現場としては使いやすいと思います。
村澤さま:
社内の他工場からは、「実際に使ってみてどうですか」「どのようなメリットがありましたか」といった問い合わせがありました。実際に導入してみないと分からない部分もあるため、運用後の声は検討材料にしてもらいやすいのではないかと思います。亀山工場での運用実績が、そうした検討の参考になればよいと思います。
今後も、現場の使いやすさを大切にしながら、管理工数を減らせる品目があれば検討していきたいです。ミスミには、商品ラインアップの拡充や、当社の現場に合う製品の提案を期待しています。手袋についても、品質やコストの面でさらに選択肢が広がれば、より活用しやすくなると思っています。
株式会社ジェイテクト 亀山工場 製造部 第2生産課 小笠原 雄也 さま
<インタビュー協力>
株式会社ジェイテクト
亀山工場 工務部 日程課
村澤 京子 さま
株式会社ジェイテクト
亀山工場 製造部 第2生産課
小笠原 雄也 さま
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