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Vol.04
2009年3月31日号
マーケティングセミナー

横田先生の世界金型産業講座
日本の金型産業の常識は世界共通の常識?

製造業にとって「金型産業」は無くてはならない産業であることは、世界の製造業界では常識のことです。日本でもこの数年、やっと金型の重要性に気付き、日本金型工業会の会長が参考人として国会で発言が出来たり、大学で金型専門教育が始まる等など少しずつですが認識に変化が出てきました。(大学での金型専門教育に関してはこの講座でいつか取り上げて行こうと思っています。)前回、この講座で紹介したISTMA(国際金型協会)参加国では、金型産業の重要性について歴史的に古くから認識が深く、国を挙げて金型人材教育や産業支援を行い活性化に努めています。最近では、アフリカ諸国や南アメリカ諸国と言った、製造業としては開発途上である国々でも「製造国として生き残るためにはまず自国内で金型産業を興す必要がある」との認識から金型企業の活性化を国の最重点課題として取り組み始めています。日本の政府も海外支援の一環として、それら開発途上国やアジア新興国の製造業支援のためにAOTS(財団法人海外技術者研修協会)では、海外金型技術者を3週間研修の内容で毎年約50名程度を日本に招き「日本の金型産業は如何にして世界一の産業になったか」を教えています。私もそのプロジェクトの責任者として、一週間程度の講義時間を担当しています。お陰で私には世界中に教え子が出来、現在では約500人以上が世界各国の金型業界で活躍しています。海外に出張するたびにそれら卒業生の企業を訪問しますが、全員日本に感謝し、熱烈な日本フアンになっています。この海外金型技術者研修を行う中で、“モノづくり”に対する各国の認識の違いに驚かされることが多くあります。その驚かされた幾つかの話をここで紹介しましょう。

質問その1:日本人はどうして上司や監督する人が見ていないところでも一生懸命働くの?

これは研修期間中の休日に研修生が観光地のレストランに入ったときに驚かされたことだそうです。「そのレストランでは従業員が一生懸命働いていましたが、何処にも監督者の姿は見えませんでした。評価する人が居なくてもどうして一生懸命働くのでしょう?」との質問でした。彼らの言い分は「評価する人がいるから一生懸命働き、給与待遇を良くしてもらうのであって、評価する人が居ないのに働いても無意味ではないか?」でした。確かに考えてみればその通りですが・・・。

質問その2:ジョブホッピングがどうしていけないの?

日本人は直ぐに「ジョブホッピングすることは悪いことである」というが理解できない。彼らは「自分の仕事を給与面等で評価してくれないならば、自分の能力をより高く評価してくれる場所に移るのは当たり前ではないか」と言うのである。又、「一つの企業に長くいるより、色々な企業で仕事をすることの方がより幅広い知識や技術を習得することが出来る」ともいいます。「多くの企業を移り歩いたことは自慢できることである」感覚でしょう。そのため履歴書には「如何に多くの企業を渡り歩いてきたか」を胸を張って書き込んでいます。確かにプロ野球やサッカーの選手もチームを自らの意思で「自分を最も高く評価してくれる団体」を渡り歩いています。どうもそれと同じ感覚なようです。

質問その3:職場内でどうして後輩に自ら進んで技術や技能を教えるの?

日本では金型企業ばかりでなく殆どの企業は仕事を先輩の人達が教えて継承していくOJT(On-the-Job Trainingの略)教育が中心です。然し開発途上国では人に仕事を教えると自分の仕事が取られてしまうという感覚があります。技能に関わる分野においては特に自ら進んで新人に教えることはしたがりません。日本は一旦就職すれば定年までその会社に勤めさせてもらえることが定着しています。従ってどんなに自分の技能を後輩に教えても会社での自分の職場が無くなる心配はありません。やはりOJT教育はその背後に「終身雇用制」が無ければ定着しないかもしれません。ちなみにOJT(On-the-Job Training)は和製英語です。OJT教育は日本文化なのでしょう。

質問その4:日本の金型企業は設備投資効率を考えていないの?

研修期間には日本の金型企業を見学する機会があります。この質問は毎年のことですが見学を終わった後研修生から必ずなされます。これは特にアフリカや南アメリカ諸国のような「製造業とは何か?」について良く判らない国の研修生からではなく、インドやタイといった金型企業が既に育ち始めているアジア諸国からの研修生からの質問です。確かに日本の金型企業では従業員数人の企業でも数十台の工作機械設備を所有している企業が大半です。従って、それら企業の工作機械の設備投資効率は悪く、一ヶ月で数時間しか使わない設備も多くあります。近代経営を勉強した研修生から見ると「これでは利益性の高い経営は出来ない!」と感じられるようです。しかし日本の金型製造方法はそれらアジア諸国の製造方法と基本的なところで違います。日本の金型づくりは「材料切断」から始まり最終組み立て、テスト加工まで一貫生産方式です。その為には設備効率重視ではなく必要な設備は自ら備える必要があります。一方、アジア諸国の金型企業は内製金型が中心であることもあり工程ごとの外注分業化が進み全ての設備を揃える必要がありません。どちらの方法が良いかは次回の講義で説明しましょう。

これまで幾つかの質問例を示しましたが、現実には今回書ききれなかった非常に多くの「日本として考えさせられる」質問が出てきます。今まで、日本の金型づくりは過去の経験から得た知識と常識の中で行われて来ました。然しグローバル化が進む現在、果たして今まで通りの金型作りで今後も発展できるのでしょうか?今後、日本の金型企業は「品質(Q)・コスト(C)・納期(D)」の全ての点で、海外企業との激しい競争が始まります。確かに今はQCDすべての点で日本が優位に立っています。しかし今後のことを考えるとその地位が安泰と言うわけではありません。今日、発生している世界経済危機が終焉し、新たな製造業の復活が起きた時、そこには全く違った世界が広がっているかも知れません。今こそ落ち着いて“日本の常識”が“日本の非常識”にならないよう自らの金型経営を「鏡」に映し、他人(他国の金型企業経営)と比較し、変化させるべきところは変化させる決断をしなければならない時期に来ているのかも知れません。



横田悦二郎[ヨコタエツジロウ]先生のご紹介:

経歴/昭和43年黒田精工株式会社に入社後、平成17年4月に ファインクロダ株式会社代表取締役社長に就任。現在では、アジア金型工業会 名誉会長、日本金型工業会顧問や国際金型協会(ISTMA)、NPO法人「アジア金型産業フォーラム」副理事長などの要職をも務める。また、著書/連載記事として「世界に勝つモノづくり 金型ジャパンブランド宣言」や「本気でJAPANものづくり戦略」の執筆者としても著名。

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