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手動ステージ総合情報

専門的な用語の定義や手動ステージの扱い方などの技術的ポイントについて紹介します。

技術情報

技術情報

移動量(ストローク)

移動量は上面テーブルの移動する量です。

※移動量の「±」表記について

  • 図面記載の寸法は、ストローク0mm(ストロークセンター)の状態です。
  • 寸法が()で記載されている場合はストロークの移動に応じて寸法の値が変化することを示します。
  • 送り機構によりステージの移動量が異なるため、(*)の付く数字をよくご確認ください。
  • 「±」表記がある移動量
    例:±6.5mmの場合、外形図の位置を中心として片側に(+)6.5mm、反対側に(-)6.5mm移動します。この場合、全移動量は13mmとなります。
  • 「±」表記がない移動量
    例:20mmの場合、ステージ本体に目盛りが付いておらず、ストローク全長で20mm移動します。
  • 【XWG60の場合】

  • 【ZLFG40の場合】

    ストロークは±5mm (10mm)です。
    ステージ高さの寸法(41)は、36mm (-5mm)~46mm (+5mm)変化することを意味します。

ステージ面

ワークを載せるステージ面のサイズです。

  • ・ステージ面はAxAです。
    ・A=25であれば、25mmx25mmです。

  • ・ ステージ面には取り付け穴が開いています。
    ・ 商品によって用意されている取り付け穴が異なります。
    ・ 穴サイズの情報もカタログに掲載されています。

耐荷重

XSG・XSGB:マイクロメータヘッド最小読取 10µm/目盛 (*5)XSGB、XSCGB40・60の真直度は3µmとなります。

※4 ミスミカタログでは、参考値として、()内に静止耐荷重を併記しています。詳細はP.1953をご参照ください。

1.耐荷重とは

ワークの重心がステージ中央部にある際にステージが耐えうる力です。
耐荷重を超えてご使用になった場合、ステージがスムーズに動作しなくなるおそれがあります。
水平に設置した場合の耐荷重は「水平」、垂直に設置した場合の耐荷重は「垂直」の値をご参照ください。
規格表に「水平」もしくは「垂直」の記載がない場合は、<FAQ:逆さまや横にして使えますか?>をご確認ください。
直動ステージを垂直、または天地逆転に設置する場合には、 カタログ表記の精度は満たさない場合がありますのでご注意ください。
※耐荷重の単位:N(ニュートン)→ kgf換算では 約0.102kgf(キログラム重)

2.静止耐荷重とは

ワークの重心がステージ中央部にある際に、静止状態でステージが耐えうる荷重です。
一部商品では通常の耐荷重とは別に、( )内に静止耐荷重を併記しています。
代表検体において、( )内の負荷をかけた後、負荷を取り除き、試験前後で精度が変化しないことを確認しております。
また、アリ溝式ステージ面摺動構造のため、静止状態では荷重に対して非常に強い構造となるため、静止耐荷重を記載しておりません。

移動精度

XY軸など複数軸のステージに記載されている移動精度は、単軸で計測した時の数値です。

1.真直度 (単位:μm)

直動ステージをフルストロークさせたときに、始点と終点を結ぶ直線(理想移動軸)に対してどれだけズレるかを表す数値のこと。
理想移動軸からの最大の変位量を真直度とします。

<測定方法> (図a-1)

  • 始点から終点までの一定方向の各点における変位量を測定する
  • 始点と終点を結んだ直線(理想移動軸)に対し、測定値の最大差を「真直度」とする(図b)
2.運動の平行度 (単位:μm)

直動ステージをフルストロークさせたときに、取り付け面に対してどれだけズレるかを表す数値のこと。
測定した変位量の最大値と最小値の差を運動の平行度とします。
運動時平行度、移動平行度とも呼ばれます。

<測定方法>

  • 定盤に固定したステージにダイヤルゲージを固定。ゲージ先端を定盤上面に当てる(図a-2)
  • 始点から終点まで一定方向の各点における変位量を測定する
  • その測定値の最大差を「運動の平行度」とする(図b)

※水平面Z軸における運動の真直度と垂直度の違いについて

◆真直度 (単位:μm)

  • 理想の移動軸に対して水平および垂直方向の最大のズレ量(距離)を示します

◆運動の垂直度 (単位:μm)

  • 基準平面上に水平面Z軸ステージと直角基準を固定します
  • 直角基準とステージ上面に設定した測定機器との間の変位を測定します
  • 終点での変位を運動の垂直度とします
(参考)静止時平行度 (単位:μm)

ステージの基準位置(図面記載の位置)において、ステージ上面と基準面の平行度のこと(図a-3)。
※詳しくは「幾何公差:平行度」をご確認ください。

「平行度」はステージが基準位置のときに測定される数値です。
「運動の平行度」とは異なり、移動精度の指標ではありません。

3.ピッチング・ヨーイング (単位:"[秒])

直動運動をする際の基準面に対するステージ面の傾きのこと。
※1"[秒] = 1/60′[分] = 1/3,600°[度] ≒ 0.00028°

<測定方法>

  • 始点から終点まで一定方向の各点における変位角を測定する
  • 垂直方向の最大値を「ピッチング」、水平方向の最大値を「ヨーイング」とする

ピッチング・ヨーイング・ローリングの違い(図c)

進行方向に対して、
・ピッチング:左右を軸にした回転(上下に傾く)
・ヨーイング:上下を軸にした回転(水平面内での回転)
・ローリング:前後を軸にした回転
※ローリングは測定できないため移動精度には記載していません

4.XY直交度 (単位:μm)

X移動軸に対する、Y移動軸の直交度のこと。

5.回転ステージの偏芯量 (単位:μm)

ステージ面の回転中心の水平方向変位量を示します。

6.回転ステージの面振れ量 (単位:μm)

ステージ面のほぼ外周付近を測定点とし、1回転させたときの基準平面に対する高さ方向の変位の最大差を示します。

  • (a) ダイヤルゲージの固定位置
    (a-1) 真直度

  • (a-2) 運動の平行度 ※図a-1と同じ

  • (a-3) 静止時平行度

  • (b) 真直度と運動の平行度の違い

  • (c) 傾きの表現

許容モーメント荷重・モーメント剛性

1.許容モーメント荷重 (単位:N・m)

ワークの重心がステージ中央部から離れた位置にある際にステージが耐えうる力です。
中央部より離れた位置にワークの重心がある(=オーバーハング)状態では、耐荷重と合わせて許容モーメント荷重も併せてご確認ください。
この数値が高い商品を「高剛性」と呼びます。

2.モーメント剛性 (単位:"[秒]/N・cm)

単位モーメント荷重(1N・cm)をかけたときにステージ面が傾く角度(″[秒])のことです。
モーメント剛性は、3方向(ピッチング、ヨーイング、ローリング)で規定されています。

公差

1.寸法公差

カタログに公差の記載がない寸法については、普通公差中級を採用しております。
普通公差については、「個々に公差の指示がない寸法に対する公差」をご確認ください。

2.幾何公差:平行度 (単位:μm)

ステージの基準位置(図面記載の位置)において、ステージ上面とステージを固定した基準平面の平行度のこと。「平行度」と記載している場合はこちらを指す。

「平行度」はステージが基準位置のときに測定される数値です。 「運動の平行度」とは異なり、移動精度の指標ではありません。

<測定方法>

  • 定盤に固定したダイヤルゲージをステージ上面に当てる(右図参照)
  • 基準位置のままステージを定盤の上で滑らせ、ステージ全面の変位量を測定する
  • その測定値の最大差を「(静止)平行度」とする

(図) 平行度測定時のダイヤルゲージ固定位置

選定ガイド

勝手違い(送り機構の取り付け位置)

マイクロメータヘッド付きステージは下図のCを「正位置」としています。取り付けスペースや取り付け姿勢、操作方法の条件に合わせて選択が可能です。
商品の構造によって位置変更ができない機種もありますので、詳しくは各商品詳細ページに記載の「追加工」をご覧ください。

  • ・センター/サイド押し
    マイクロメータヘッドや送りねじなどの送り方式ごとに、センター押しとサイド押しがあります。
  • ・左右勝手違い
    装置により送り位置を変更したり左右対称の装置を構築する場合など、線対称な構成が選択できます。
    例:表中AとAR。
  • ・上下勝手違い
    マイクロメータヘッド付きステージは搭載物の荷重をマイクロメータの先端で受けるように選定していただく必要があります。
    詳しくは「選定ガイド:取り付け姿勢」をご確認ください。
サイド押し センター押し

(C)正位置(基本取り付け位置)

(CR)左右勝手違い

(A)センター

(AR)センター左右勝手違い

(CZ)上下勝手違い

(CZR)左右上下勝手違い

(AZ)センター上下勝手違い

(AZR)センター左右上下勝手違い

取り付け姿勢

X軸ステージ

クロスローラガイドとリニアボールガイドを使用したステージは戻りの反力を利用するために、内部にばねが入っています。
X軸ステージをZ軸(垂直)方向に取り付ける際には、荷重方向に合わせて送り機構の位置を変更してください(下図参照)。
※「追加工」にて送り機構の位置を選択可能です。

NG OK
バネで引っ張る力以上の荷重がかかると、荷重を
受けられずステージ面がずり落ちます。
CZ、CZR:ステージ面にかかる荷重をマイクロメータヘッドと下面プレートに取り付けられたブラケットで受けることが
できるため、ステージ上面は下がりません。
正勝手、CR、A、AR:マイクロメータヘッドの「先端を上向き」にして取り付けた場合、ステー ジ面は下がりません。
上下勝手違い(Zタイプ)

マイクロメータヘッドを上向きになるよう設置しても、マイクロメータ側で荷重を受けられるためステージ面が下がりません。

回転ステージやゴニオステージ

回転方向のモーメント荷重が生じる使い方をする場合、マイクロメータヘッド側で負荷を受ける向きに限り使用可能です。
マイクロメータヘッド側で負荷を受けない場合は使用不可となりますのでご注意ください。
また、側面取り付けの場合は耐荷重が低下いたします。「FAQ: 逆さまや横にして使えますか?」もご参照ください。

NG OK

部品付け替え

マイクロメータヘッドの付け替え

お客さま自身でのマイクロメータヘッドの付け替えは推奨いたしません。
マイクロメータヘッドが不要な場合、「追加工」でマイクロメータヘッド無しがご選択いただける商品をご検討ください。
なお、お客さま自身でマイクロメータヘッドを付け替えされますと、商品の保証対象外となりますのでご注意ください。
※対象商品:XSGXPGFSXRFSXYRFSZR

送りねじやラック&ピニオンのハンドル部分の付け替え

送りねじやラック&ピニオンのハンドル部分の付け替えは、精度や機構に影響を与える可能性がある分解が必要となるため推奨いたしません。
既存ハンドルはそのままでハンドル径を大きくする場合は「ハンドルカバー」、ハンドルを延長する場合は「延長ハンドル」をご使用いただけます。
※対象商品:ハンドルカバーHDCVR、延長カバーHDEXT

クランプノブの付け替え

クランプノブの付け替えは推奨いたしません。
お客さま自身でクランプノブの付け替えをされますと、商品の保証対象外となりますのでご注意ください。

※詳細はミスミ規約をご確認ください。

使用ガイド

設置方法

ステージをベースに取り付ける際は、基本的にステージ面を移動させて取り付けます。次のイラストをご参照ください。

1.直動ステージ

※次の型番は下からでもボルトが取り付け可能

*1 XEEG40/60が対応
*2 ZFES60のみ対応
*3 ZCRS50/60/80/90/100/120が対応

2.回転ステージ
3..ゴニオステージ

設置時の注意点

1.取り付け面の平面度

ステージの固定面またはステージ面に取り付ける部品の平面度が不十分な場合、商品本来の性能が発揮できない場合があります。
推奨平面度は0.01mm以内となります。

ステージを取り付ける設置面の注意点 ステージに取り付ける部品面の注意点
ステージがU字に歪み、ガイド(上図の赤丸)予圧が抜けガタが発生します。
逆に山形は、過予圧となり精度・耐久性に影響します。
ステージがU字に歪み、ガイド(上図の赤丸)予圧が抜けガタが発生します。
逆に谷形状は、過予圧となり精度・耐久性に影響します。
2.ねじ長さ

部品をステージに固定する際は、ステージ上面のタップ深さ以下のボルトを選定してください。
長過ぎるボルトを使用すると内部部品に干渉して商品の摺動性悪化や故障の原因となります。

目盛りの読み取り方法

1.マイクロメータヘッド

〈読み取り方〉

  1. ① シンブル端面の位置がスリーブの何mmの位置にあるかを0.5mm単位で読む。
    (右図の場合11.5mm)
  2. ② スリーブ基線とシンブル目盛線が一致している位置のシンブルの値を読む。
    (右図の場合0.36mm)
  3. ③ 1と2の合計が読取値となる。(右図の場合11.86mm)

2.バーニア目盛り

〈読み取り方〉

  1. ① 副尺Ⓐの0の位置を、主尺Ⓑの目盛で1mm単位で読む。
    (右図の場合30mm)
  2. ② Ⓐの目盛のうち、Ⓑの目盛と一致した目盛Ⓒを読み、それを0.1mm単位の数値とする。
    (右図の場合0.6mm)
  3. ③ 1と2の合計が読取値となる。(右図の場合30.6mm)

使用環境

手動ステージの使用環境と商品の特性について

・使用環境:10~50℃、湿度20~70%RH(非結露)
・推奨使用環境:22±5℃、湿度20~70%RH(非結露)

※次のような場所での使用は避けてください。

  • ・ほこりや粉塵(特に金属粉)の多いところ
  • ・直射日光、輻射熱があたるところ
  • ・火気に近いところ
  • ・ガス、可燃性ガスが発生するところ
  • ・水分や油がかかるところ
  • ・振動や衝撃が伝わるところ
  • ・塩分、有機溶剤が多いところ
真空での使用について

当社商品は真空対応しておりません。

一部商品(※)では、特注対応で真空向けグリースに交換可能ですので、お問い合わせください。
ただし、グリース交換以外はサポート外(アルマイト処理が施している部分の真空対応など)ですのでご注意ください。
※対象商品:リニアボール式ステージ(XSGFSXRFSXYRFSZR

クリーン環境での使用について

当社商品は一部商品を除き、クリーン環境には対応しておりません。

ISO・JISクラス6(米国連邦規格クラス1000)環境での使用実績はありますが、お客さま自身のご判断でのご使用をお願いいたします。
「クリーン環境用グリース」は仕様選択ステージでご選択いただけます。
※対象商品:FSXRFSXYRFSZR

水中、もしくは水がかる可能性のある場所での使用について

残念ながら水中、もしくは水がかかる可能性のある場所で使用できるステージはありません。
ステージは複数の部品から構成されており、これらが水により錆びるおそれがあり、また、グリースにも影響を及ぼすためです。

磁性について

ステンレス製のステージにはステージ面と固定面に磁性があります。
磁性が気になる場合は、アルミ製のステージをおすすめします。
ただし、アルミ製のステージであっても、ねじなどの部品に磁性がある素材が含まれることがありますのでご注意ください。

防塵について

防塵対策のステージは取り扱っていません。

メンテナンスについて

グリースについて

ステージの種類によってグリースの型番は異なるため、個別にお問い合わせください。

グリースアップ頻度

グリースの種類に関係なく定期的な基準は特に定めていません。
駆動条件やガイド種類により異なりますが、月1回程度グリースの状態を確認していただき、必要に応じて塗布してください。

グリースアップ方法

以下の手順で行ってください。

  1. 1. 見える範囲で古いグリースをふき取ります。
  2. 2. シリンジなどを使用しガイド部に塗布します。
  3. 3. フルストローク動作を数回行います。
  4. 4. はみ出したグリースをふき取ります。
グリースの除去

グリースの除去:グリースの塗布は商品の滑らかな動作や磨耗・位置ずれ防止などを目的としているため、グリースの除去は推奨いたしません。
なお、除去された場合は商品の保証対象外となりますのでご注意ください。