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Vol. 9 産学官連携し新製品開発、新技術導入などお客さまと共に
つくりあげる (菊池製作所様)

RT開発グループ 担当課長 荒井さま

RT開発グループ 担当課長 荒井さま

課題

1.使用する部品に特殊なものを採用すると、コスト増加、入手できるかなどの問題が生じる
2.専門的分野における知識やスキルの向上

取り組み

1.できる限り入手しやすい汎用的な部品を採用し組み込む
2.体制は「一括一貫管理」、専門知識のある方に理解できるまでしつこく質問する

効果

1.調達コストを抑制し、安定した部品調達を実現
2.ノウハウ知識を蓄積し、お客さまの意向を汲み取り満足を届ける

ものづくりメカトロ研究所とは?

はじめに、事業内容と、ものづくりメカトロ研究所(以下、メカトロ研究所)の活動について教えていただけますでしょうか。

荒井さま:菊池製作所のメイン事業は金型の製作です。創業当時は精密板金加工(板金加工の中でも特に0.1㎜から3㎜程度の、薄い金属板を使った加工)から始まり、難易度の高い絞り部品などの金型製作、成形、加工などさまざまな事業を展開しています。また、多様化するものづくり課題に応えるため、開発設計から金型・試作品製作、量産品製造、アッセンブリ、検査までの工程を「一括一貫体制」として提供しています。本社のある八王子では、試作で研究開発されているメーカーさんが多い土地柄、カメラや医療機器などの試作を請け負い、製造することが多いです。福島には大型工場があり、大型の板金や金型を扱っています。
我々のメカトロ研究所は2006年に研究開発拠点として開設した機関です。新製品開発、新技術導入に向けた活動、また自社開発製品の事業化を進めるとともに、産学官連携のネットワークも積極的に拡大しています。2013年以降はものづくり関係(受発注)の継続を目的として、ベンチャーへの投資を開始しました。試作・改良・製品化はもちろん運用・経営・資金面も含めてサポートを行い、現在ではグループベンチャー7社を数えます。メカトロ研究所は、研究開発機能とともに菊池製作所とベンチャーをつなぐハブ役としても重要な役割を求められています。

荒井さまがお客さまと直接対面でお話されることもあるのでしょうか?

荒井さま:はい。私の所属する部隊では、引き合いからすべてお客さまと一緒に作り上げていく形です。加工部隊には営業がいてお客さまが作図されたものを制作していく流れが主になりますが、我々の部隊はお客さまの要望によって設計から担当します。メカトロ研究所は大学の研究室向けという性質があり、学生さんから「こんなものを作りたい」と要望があった際は設計、加工とすべての工程を相談しながら進めていきます。そういった意味で、お客さまにとても近く、一緒にやる、というスタンスですね。

現在メカトロ研究所では、年間どのくらいの生産量があるのでしょうか?

荒井さま:ロボティクスのものは、カメラなどの市場レベルで量産するわけではないので、ロボット1台を製品化できたとしても100台売れればという感覚です。こちらで制作するものは試作の段階なので、ものによっては10台、1台ということもあり、サンプル的な制作が日常業務です。例えば、テーブルに配膳してくれるロボットを1台作りましょう、というようなことを日々やっているわけです。試作後の量産も視野に入れた先発部隊のイメージですね。

試作の製品群では、どのようなものが多いですか?

荒井さま:今よく依頼が来るものは、AGV(Automated Guided Vehicleの略で、「無人搬送車または無人搬送機」)だったり、中には水中ドローンもあります。小さな潜水艇のようなイメージで、水中写真を撮影できるようなものです。また、空撮用などの空を飛ぶドローンや地上を走るロボット、生産ライン立上げの際に導入するFA機器、マッスルスーツなどの装着型ロボットなど、扱っている商材はかなり幅広くあります。

唯一の国産製ドローン

唯一の国産製ドローン

装着型の作業アシストスーツ、マッスルスーツ

装着型の作業アシストスーツ、マッスルスーツ

各分野に特化した担当者が設計から制作までマルチに活躍

納期までのスケジュールや制作工程の管理など、チームでどのように切り回しているのでしょうか?

荒井さま:チームというより、縦割りのイメージですね。扱う商材の業界が違えばルールが違ってくるので、案件の縦割りで担当者ごとに一貫して管理します。例えば、空を飛ぶドローンを担当していた者が急に装着用ロボットを担当するということは、それぞれのロボットに求められる規定、ルール、参照規格など が異なるので難しく、業界ごとに担当者が分かれています。
みんな同じフロアで作業しているので参考に一般的な技術要件などは話し合ったりしますが、基本的には設計から制作まで、各分野に特化した担当者がマルチに頑張っています!

※ISO13482の中でも「移動作業型」、「人間装着型」、「搭乗型」などの区分がある。

全行程を担当者ごとに対応するにあたって、大変なこと、意識されていることはありますか?

荒井さま:我々はある程度特殊なものを扱っているわけですが、使用する部品などに特殊なものを採用してしまうと、コスト的にも、また入手できるかという観点でも問題が生じます。そのためできる限り入手しやすい汎用的なものを組み込むことを意識していますが、その時必要となるのが知識量です。この部品はこのメーカーさん、というような知識は同じ業界に長く携わることで幅が広がっていきますが、業界が変わるとやはり大変です。
お客さまの中には大学の先生やベンチャーの方も多くいらっしゃり、各業界の専門知識をお持ちの方々も多いので、部品調達などの相談をしながら進めることもあります。

部品調達の際、一番に想定されているのはどこになりますか?

荒井さま:我々の場合はミスミさんです。通常一番優先的に使います。むしろ設計中に「ミスミで調達できる部品かな」と想定しながらやっています。商社を通すとそれだけ時間がかかり、コストも上がってしまう。ミスミで購入する場合は、ある程度許可をもらった上で設計者がECサイトから直接オーダーをかけられるので、購買担当者を挟まず最短で手元に届くことが利点です。

納期の面で、ミスミの評価はいかがですか?

荒井さま:短納期ということもそうですが、何よりも納期を明示していただけるので助かっています。他社の場合、回答された納期に遅れたり、それによって会社の経費処理の締めに遅れてしまったり。ミスミさんは遅れる場合は事前に連絡をいただけて、きっちり納期を守ってもらえるので助かります。お客さまはそれぞれの事情で試作品が仕上がるスケジュールをフィックスしたいという気持ちが強いので、こちらは確実に部品の納期を握っている必要があります。ミスミさんからは信頼できる情報をもらえて安心です。

ミスミのECサイトについて、何かご意見はありますか?

荒井さま:基本的には不満はないですが、オーダー数量についてあったらいいなという機能はあります。例えば、ネジを数本単位でオーダーすることがあるのですが、その時パックや箱などある程度お得に購入できるまとめ買いの情報が自動で出てきてくれるとありがたいですね。現状は、箱やパック単位の販売があるかどうか毎回検索しているので、利用者目線でそういう機能があると便利だと思います。

お客さまの意向を汲み取り、満足を届けられるかが一番大事

試作品を作る上で、設計者として大事にされていること、スタンスやお考えを教えてください。

荒井さま:望んでくれる人をどれだけ満足させられるか、そこだけは気をつけたいです。部品であろうがロボットであろうが、サービスだって一緒ですよね。最終的に望んでくれている人がいるから今の仕事がある。お客さまの意向をちゃんと理解して、それに合わせたレベルのものづくりをする。試作品の精度、フェーズ、商材すべてがお客さまによってバラバラなんです。だから、一概にポリシーというよりは、望んでくれる人が満足したかなっていうことが一番大事だと思います。

お客さまの意向をきっちり把握されるために、要求を引き出すコツはありますか?

荒井さま:わからないことをとにかく質問しますね。新しいロボットを作りたいと言われた日には、「ここどうですか、あれどうですか」と何度もモデルを作って送り出し、お客さまが満足のいくまでやり直します。依頼の中には、専門外のものなので丸ごとお願いしますという場合もあり、「ここをもう少しいい感じにできませんか」というような感覚論で求められることもあります。お客さまには色々なバックグラウンドがあって、こちらの考えを押し付けることはできないので、とにかくやってみて、送り出して、反応を見て…やっぱりコミュニケーションじゃないですかね。

最後に、荒井さまの今後の展望をお聞かせいただけますか?

荒井さま:ロボットを扱う環境にいるので、もっといろいろな技術を勉強していきたいです。ロボットって無限大なんですよね。電気、制御、加工、センサー、さまざまな知識が必要で、さらには世の中で何が求められているのか、どういう動向で、何のシステムを積んでいるのか、やることは無限大です。ジャンルが違えば全く知らなかった知識を持った担当者がたくさんいて、刺激しあいながらいろんなものを知って、視野を広くしたいです。

福島工場(飯舘村)を視察された上皇上皇后両陛下と、菊池社長(右端)

東日本震災における復興支援として平成25年、福島工場(飯舘村)を視察された上皇上皇后両陛下と、菊池社長(右端)。
放射線量の強さを映像化するガンマカメラなどをご紹介し、予定時間をオーバーするほど熱心なご質問をいただいたそうです。

■お客さま情報

社名
株式会社 菊池製作所 KIKUCHI SEISAKUSHO CO. ,LTD.
代表取締役社長
菊池 功
創業
1970年4月
資本金
1,303百万円(2018年4月末時点)
営業品目
金属及びプラスチック製品の試作並びに量産設計・製作・販売
各種金型設計・製作・販売
工作機械の設計・製作・販売
各種ロボットの設計・製作・販売
従業員数
395名(2020年4月時点、連結)
Webサイト
http://www.kikuchiseisakusho.co.jp/

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