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手動ステージ総合情報

手動ステージの基本的な構造、特長、分類について確認できます。

ステージとは

ステージの基本情報

手動ステージの定義やそのメリットと移動方向による分類についてご説明します。

ステージの基本構成要素

ステージとは、ワークを位置決めする機能を持った商品で、ガイド・送り・クランプ・移動面・固定面で構成されています。
位置を調整後、固定を簡単に行うことができ、カメラやファイバのアライメント、試料の検査・分析治具等で幅広く採用いただいています。
直動以外にも昇降・回転・円弧・傾斜などの機構があり、組み合わせることで多様な動きを実現することが可能です。

【高精度】X軸 アリ溝 送りねじ式 正方形 XEG

ステージのメリット

「長穴での調整」や「アジャストボルト」を用いた内製品と比べ、以下のメリットがあります。

1.調整工数の削減

カメラ、センサなどのワークを精度よく 簡単に位置調整できます。
ミクロン単位での調整は非常に繊細な作業となりますが、マイクロメータヘッドを用いることで時間をかけずに調整できます。

2.数値管理/再現性

目盛り付きのステージを使用することで、現場の作業者が定められた位置に調整ができるため、工場生産ラインの段取り替えなど、再現性が求められる用途でも使われています。

3.設計工数削減

ステージは標準品として販売されるため、簡単に購入することができます。内製品の設計・製作工数を大幅に削減することが可能です。

4.省スペース

お客さま社内で設計・製作される治工具よりステージのサイズが小さくなる傾向があります。
また薄型、左右勝手違いなど省スペースでの設置に適したステージがあるため、省スペースの効果があります。

ステージの移動方向による分類

ステージは直動系と回転計の2つに分類できます。
これらを組み合わせることで任意の場所に任意の姿勢で位置決めできるようになります。

直動ステージの基本機構(3つの機構)

直動系ステージについて、【 ステージの構成要素(ガイド、送り、クランプの3つの機構) 】をご説明します。

主なガイド機構

位置調整の方向をガイドするための機構。剛性や移動精度が選定のポイントとなります。

アリ溝 クロスローラ リニアボール
ガイド構造
断面が台形形状のオスとメスをはめ合わせた
面接触のガイド機構
ステージの上板・下板にねじ止め固定したV溝レールの間に、円柱ローラを交互に並べたガイド機構 ステージの上板・下板に直接加工されたゴシックアーク溝レールの間に、鋼球を並べたガイド機構
主要材質 真鍮 / アルミ合金 アルミ合金 ステンレス
剛性
移動精度
本体の軽さ
ストローク
価格
特長 ・低コスト、ロングストローク
・高精度を要求しない位置決めに最適
・高精度でリーズナブルな価格
・精密位置決めに最適
・ガイド溝と筐体が一体構造のため最も高精度
・SUS製で高剛性・高耐荷重・長寿命

主な送り機構

位置調整のために移動面を動かす機構。調整精度や用途が選定のポイントとなります。

ガイド機構 アリ溝 クロスローラ・リニアボール
送り機構 ラック&ピニオン 送りねじ マイクロメータヘッド 粗微動マイクロメータ
ヘッド
デジタルマイクロ
メータヘッド
ラックギアと呼ばれる板状歯車と、ピニオンギアと呼ばれる円筒歯車を組み合わせた送り機構 ねじとナットを組み合わせて使用し、ねじの回転をナットで直線運動に変換する仕組みを利用した送り機構 円筒部外周に目盛りを一体化することで、0.01mm単位の微細な調整ができる送り機構 内部に二段階の調整機構を持つことで、通常のマイクロメータヘッドよりも微調整できる送り機構 目盛りをデジタル表示可能なマイクロメータヘッド
最小読取精度 ステージ上板・下板の目盛に依存 10μm 0.5μm 1μm
ハンドル
1回転移動量
17~20mm 0.5~10mm 0.5mm、1mm 0.5mm 0.025mm、0.5mm 0.5mm
特長 ・長ストロークに対応可能
・長距離を早く移動できる
・調整時間を短縮したい場合に最適
・用途に合わせてハンドル1回転移動量を選択可能
・マイクロメータに比べ省スペースで調整できる
・比較的低コストで精密な調整を導入できる ・最も精密な調整が可能 ・デジタル表示で作業者の主観に依存しない位置読み取りが可能

主なクランプ機構

調整した位置でステージ面を固定するための機構。標準クランプタイプが一般的ですが、一部商品ではクランプ機構を選択可能です。

ガイド機構 共通 アリ溝 クロスローラ・リニアボール
クランプ機構 標準クランプ アリ溝標準クランプ レバー式クランプ 割り締めクランプ ディスククランプ 対向クランプ
クランプねじでクランププレートをステージ側面に押し当てて固定する機構 クランプねじでアリ溝部を側面から押え込むことで固定する機構 クランプねじをレバー式にすることで締め付け操作を容易にした機構 送りハンドルの軸をすり割りで挟み込んで固定する機構 ディスクを両面から挟み込んで固定する機構 マイクロメータヘッドと対向ボルトで固定部品を挟み込んで固定する機構
保持力
特長 ・低コストでスタンダードな固定方法 ・低コストでスタンダードな固定方法 ・工具を使わずに手の小さな力でも固定可能 ・送りハンドルをそのまま固定するので保持力が向上する
・アリ溝標準クランプも搭載されており併用可能
・ステージ面に負担をかけずに固定するため、固定時の位置ズレを抑えられる ・振動に強く、大きな保持力が得られる

(!)クランプに関するご注意

ステージのクランプはノブやレバーを回してねじを締めることによって得られる摩擦力で固定しています。
そのため、クランプ機構部の摩擦力を超える過度な外力が加わるとステージ面は動いてしまいます。
ご使用になる際は、ステージ面が動かないようにお客さまご自身で対策をご検討ください。
なお、ミスミの商品では以下のクランプ機構がクランプ強化対応済みです。
・割り締めクランプ
・対向クランプ

商品例

ミスミではガイド機構・送り機構・クランプ機構のさまざまな組み合わせのステージをご用意しています。
それぞれの特長から、用途に合うステージをご選定ください。下表はその一例です。

商品型番の例 XFES60 XFG60 XCRS60 XSCGB60-H
ガイド機構 アリ溝 クロスローラ リニアボール
送り機構 送りねじ ラック&ピニオン マイクロメータ 送りねじ
クランプ機構 アリ溝標準クランプ レバー式クランプ 標準クランプ ディスククランプ

その他の直動ステージ

簡易調整ユニット

シンプルな構造にすることで、高い精度を必要としない価格重視の機構としてご活用いただけます。
長穴調整などの内製位置調整機構の置き換えに適しています。

キーガイド式 左右ねじ式 押しねじ式
外観・機構
キー(凸面)とキー溝(凹面)とのすり合わせによる簡易調整ユニット 1本のねじ軸の両側に右ねじと左ねじをそれぞれ加工することにより、左右対称に2つのテーブル面が開閉する簡易調整ユニット ばねの反発力を利用することで押しねじのみで位置調整を可能とした簡易調整ユニット
ばねの反発力によりバックラッシュが抑えられクランプも不要
ガイド キーガイド すり合わせ シャフトスライド
送り 送りねじ 左右ねじ 押しねじ+ばね
クランプ 六角穴付きボルト 左右ねじの回転止め (なし)
特長 ・ボルト固定により、ガッチリとしたクランプを実現できます。一度決めたら、動かさない調整に最適です ・左右ねじをユニット化することで開閉機構を低コストで採用可能
・耐荷重は196N(20kgf)
・簡単に調整できる反面、ばねの力の関係から耐荷重は低くなる傾向にある
・簡易的な調整に適す
代表商品 XKYF/XKYL XANON XKNG

水平面Zステージ

ステージ面の水平を維持したまま、高さ調整できるステージです。
ワークの高さ調整に適しています。

送りねじ式 ラック&ピニオン式 テコ式 ラボジャッキ ヘリコイドねじ式
外観・機構
テコの原理で横からの力を垂直方向に変換して昇降する方式 外筒部を回して昇降する方式
ガイド アリ溝 アリ溝 クロスローラ パンタグラフ ヘリコイドねじ
送り 送りねじ ラック&ピニオン マイクロメータ/送りねじ
クランプ アリ溝標準 アリ溝標準 標準 割り締め クランプねじ
特長 ・細かく送りたい場合、やや早く送りたい場合に最適
・送りねじ式なので自重落下を防止できる
・送りスピードが速い
・調整時間を短縮したい場合に最適
・高精度位置決めに最適
・構造の特性上、ストロークの位置によりマイクロメータの送り量とステージ面の昇降量は微かにズレる
・大型で高耐荷重。割締め方式のクランプで確実な固定が可能
・構造の特性上、ステージが昇降するごとにハンドル1回転での移動量がズレる
・ストロークが長く、ラボジャッキ同等の耐荷重を有する
・光学系の実験に最適
代表商品 ZLFD ZLFG ZLPG, ZLPGS ZLJS, ZLJG ZHRD

回転ステージ、ゴニオ(傾斜)ステージ

回転ステージ

ステージ面中央を中心にステージ面が回転するステージです。
機器の方向転換やワークの回転調整に適しています。

すり合わせ式 クロスローラベアリング式
外観・機構
移動面と固定面が面接触しており、つねに擦れる構造です 移動面と固定面はクロスローラベアリングで連結されているため、すり合わせタイプに比べて接触面積が少なく、動作がスムーズです
ガイド すり合わせ クロスローラベアリング
送り マイクロメータヘッド
クランプ クランプねじ+対向クランプ
特長 ・隙間があるため精密位置決めには不向き
・本体の材質がアルミ合金で軽量
・精密位置決めに適しています
・材質がステンレスのため剛性が高い
代表商品 RTRM/RTRS, RPG RPGS

ゴニオ(傾斜)ステージ、チルト(あおり)ステージ

ゴニオステージはステージ面中央の垂線上に回転中心を持ち、円弧動作するステージです。
チルトステージは内部の支柱ガイドに回転中心を持ち、あおり方向に傾斜するステージです。
機器の姿勢調整やワークの傾斜調整に適しています。

ゴニオステージ チルトステージ
アリ溝式 クロスローラ式 支柱ガイド式
外観・機構
ウォームと呼ばれる円筒ねじ歯車とウォームホイールと呼ばれる円弧形状の斜歯歯車を組み合わせた構造です。ウォームを回転させるとウォームホイールが回転し、移動面が円弧動作します ガイド機構のクロスローラガイドが円弧形状になり、マイクロメータヘッドを回転させるとステージ面が円弧動作します ステージ面とベースの間にある2本の支柱を支点とした2軸傾斜ステージです
ガイド アリ溝 クロスローラ 支柱
送り ウォームギア マイクロメータヘッド 押しねじ+ばね
クランプ 標準クランプ 対向クランプ
特長 ・送りスピードが速い
・調整時間を短縮したい場合に最適
・精密位置決めには不向き
・隙間がなく精密位置決めに適しています ・Z軸のあおり方向の簡易な調整に便利な機構です
代表商品 GFSG, GFG, GFWG GPG, GPWG TLSG