製造現場のためのカップリング選定情報
困ったときには(Q&A)
- トラブル1既定の締め付けトルクで締めてもすべってしまう
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- カップリングの許容トルクとモーター最大トルクの関係は合っていますか。
使用する負荷トルク(モーター最大トルク)がカップリングの許容トルク以下となるよう選定してください。 - 軸スリップトルク以下で使用されていますか。
軸スリップトルクが許容トルク以下の場合は、使用する負荷トルクがカップリング軸スリップトルク以下となるよう選定してください。
- カップリングの許容トルクとモーター最大トルクの関係は合っていますか。
- トラブル2カップリングにシャフトが入らない
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- 軸を差し込む前にねじを締めこんでいませんか。
強く締めるとカップリングの内径が狭まる場合があります。
- 軸を差し込む前にねじを締めこんでいませんか。
- トラブル3使用中にカップリングが破損した
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- 許容ミスアライメント以内で使用していますか。
複数のミスアライメントがある場合、各許容値はカタログ値の1/2になるので注意が必要です。
- 許容ミスアライメント以内で使用していますか。
- トラブル4カタログに載っている偏心、偏角の許容値以内にもかかわらず、カップリングが壊れた
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- 許容ミスアライメント以内で使用していますか。
寸法・性能表に記載されたミスアライメントの許容値は、偏心・偏角・エンドプレイのどれか1つが単独で発生している場合のものです。
2つ以上のミスアライメントが複合する場合、それぞれの許容値は1/2となるので注意が必要です。
- 許容ミスアライメント以内で使用していますか。
- トラブル5使用中にカップリングから異音が出る
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- 許容ミスアライメント以内で使用していますか。
複数のミスアライメントがある場合、各許容値はカタログ値の1/2になるので注意が必要です。
- 許容ミスアライメント以内で使用していますか。
- トラブル6ディスク形カップリングの使用中に音や振動が発生する
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- サーボモーターの場合は制御系で機械共振抑制フィルターをその固有振動数に設定することで音、振動を抑制できます。
ステッピングモーターの場合は使用回転速度をずらすか、減衰効果の高い防振ゴム一体形カップリングで振動を吸収・抑制することが可能です。
- サーボモーターの場合は制御系で機械共振抑制フィルターをその固有振動数に設定することで音、振動を抑制できます。
- トラブル7カップリングを取り付けた際に従動軸に振れが生じる
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- カップリングが原因となって発生する従動軸の振れは、主に不十分な芯出しによる軸反力によって生じます。
ステッピングモーターの場合は使用回転速度をずらすか、減衰効果の高い防振ゴム一体形カップリングで振動を吸収・抑制することが可能です。
- カップリングが原因となって発生する従動軸の振れは、主に不十分な芯出しによる軸反力によって生じます。
- トラブル8軸を固定しようとしたら座面が割れた
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- 六角レンチなどで締め付けていませんか。
- 規定の締め付けトルク以上の力で締めすぎていませんか。
カップリングの固定はトルクレンチを使用し、規定締め付けトルクで締めてください。
締めすぎは破損の原因、緩めすぎはスリップの原因になります。
- トラブル9部品手配後に寸法公差の積み上げで、許容ミスアライメントから外れる可能性があることがわかった
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- 寸法公差や幾何公差により、ミスアライメントが発生することもあるので注意が必要です。
【許容ミスアライメントから外れてしまった原因】
選定の手順に従い、以下を選定
SCPW28-6-6(許容偏心:0.15mm)
↓
基準からモーター高さ:40±0.1
基準からボールねじ高さ:40±0.07
↓
最大偏心量:0.17mm
モーターブラケットの作図者に、公差は±0.03であることを伝えていなかった
- 寸法公差や幾何公差により、ミスアライメントが発生することもあるので注意が必要です。
トルクレンチの選定方法
カップリングのボルトの締め付け管理のためには、トルクレンチの使用が必要となります。
締め過ぎによるボルトの伸び、破損等のリスクを避けるためにも、必ずトルクレンチを使用して締め付けを実施してください。
トルクレンチの選定、使用方法、使用上の注意につきましては下記項目を参照いただき、各型式の締め付けトルク値に合ったトルクレンチをご使用ください。
トルクレンチの選定
- プレセット型トルクレンチ
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おすすめトルクレンチ
- 単能型トルクレンチ
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おすすめトルクレンチ
- モンキ形トルクレンチ
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おすすめトルクレンチ
- プレート形トルクレンチ
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おすすめトルクレンチ
ヘッドの選定(ヘッドのタイプ)
六角穴付きボルト
- ラチェットヘッド
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おすすめトルクレンチ
- ヘキサゴンヘッド
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おすすめトルクレンチ
六角ボルト
- メガネヘッド
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おすすめトルクレンチ
- スパナヘッド
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おすすめトルクレンチ
トルクレンチの使用方法
プレセット型トルクレンチ(ダイレクトセットタイプ)を例に、トルクレンチの基本的な使い方をご説明します。
1.必要なもの
2.各部の名称
3.組み立て方
締め付けるボルトに合うソケットを取り付け、ソケットの回転方向を合わせます。
4.設定
設定ノブを回して、締め付けトルクを設定します。
5.ボルトの締め付け
- ボルトを取り付けたナット部分にソケットを差し込みます。
- 矢印の方向へ回し、締め付け設定したトルク値に達しますと『カチッ』という音または
手に軽い『ショック』が感じられましたら締め付けは完了です。
- トルクとは
「力」×「長さ」で表せる「力のモーメント」です。 - 国際単位(SI)では、N・m(ニュートン・メートル)です。
旧の重力単位の換算は、下記の通りです。 - 1kgf・m=9.807N・m
1N・m=0.10197kgf・m
出典/TONE(株)
安全にご使用いただくために
工具を安全にご使用いただくために、以下の注意事項と個別記載の注意をお読みください。
お買いあげいただいたあとは、必ずご使用前、製品に付属の取扱説明書をお読みいただき、いつでも読めるように大切に保管してください。
警告
- 高所作業では必ず落下防止の処置をしてください。
- 通電中の作業はしないでください。
- トルクレンチは右回転(時計回り)でご使用ください(プレセット形、単能形)。
- アダプター(トルクレンチの角ドライブより小さいタイプ)を使用しないでください。
アダプターの角ドライブが破損し、けがの原因になります。 - エクステンションバーを使用しないでください。
エクステンションバーの破損、トルクの変動の原因になります。
注意
- 工具は本来の使用目的以外には使用しないでください。
- 「締め付けトルク」と「ねじの締め付け力」との関係は、ねじの状態や構造、摩擦係数などによって異なります。
必ず対象物の作業指示書や注意書をよく読んで正しい作業をしてください。 - トルクレンチのトルク能力範囲を超えて使用すると故障します。
場合によっては破損し、ケガをすることもあります。 - 握り部にパイプを継ぎ足して使用しないでください。
正しいトルクがでなく、場合によっては破損し、ケガをすることもあります。 - トルクレンチは力を加える位置(握る位置)と方向によってその値が狂うことがあります。(図1)
図1
- 精密に調整されていますが、衝撃を与えたり分解すると精度が狂います。
また高温多湿、水中、ほこりの多い場所などでの使用や保管をしないでください。