最後に、ボールベアリングを選ぶ際に重要となる、6つのポイントを紹介します。
かかる荷重の大きさ
使用時にかかる荷重の大きさは、ボールベアリングを選ぶうえで重要なポイントの一つです。
ボールベアリングには、その製品が支えられる荷重の上限値である、“許容荷重”が設定されています。
実際の荷重がこの値を超えてしまうと、破損する可能性が高まってしまうため非常に危険です。
機械本体の安全性を確保するためにも、許容荷重は必ず確認し、想定する用途での使用に耐えうるか否かをチェックしてください。
かかる荷重の方向
ボールベアリングの大きさだけではなく、荷重の方向も重視したいポイントです。
たとえば、ラジアル荷重がかかることがわかれば、その時点でスラスト玉軸受の製品は候補から外れます。
また、ラジアル荷重とスラスト荷重の両方がかかるなら、ラジアル玉軸受のなかでも、深溝玉軸受ではなくアンギュラ玉軸受が選択肢に挙がります。
あるいは、ラジアル玉軸受とスラスト玉軸受を併用するのも一つの手です。
その場合は複数のボールベアリングを使うことになるので、各製品の配置まで検討する必要があります。
このように、荷重の方向が定まれば、最適なボールベアリングの種類だけではなく、その配置まで決められます。
取り付け可能なスペースの広さ
機械内の空きスペースの広さがわかれば、取り付け可能なボールベアリングの寸法も定まります。
なお製品を選定する際は、外径と内径の両方を必ず確認しましょう。
外径寸法が同じボールベアリングでも内径寸法が同じとは限らず、またその反対も起こりうるためです。
使用時に生じる回転数
組み込む機械の使用時に生じる回転数次第で、採用すべきボールベアリングも変わります。
なぜならボールベアリングでは、許容回転数とよばれる、回転数についての上限値も製品ごとに定められているからです。
実際の回転数がこの値を上回ってしまうと、ボールベアリングが異常発熱を起こし、製品寿命を大きく縮めてしまいかねません。
ですので、想定される回転数を事前に把握したうえで、許容回転数に余裕のある製品を選ぶ必要があります。
求める精度の高さ
ボールベアリングの回転精度や寸法精度は、JIS規格によって評価の低い順に、0級・6級・5級・4級・2級の5段階で分けられています。
使用用途で高い回転精度が求められるのであれば、5級以上のボールベアリングを選ぶのが適当でしょう。
また、回転精度が良好なら無駄な摩擦も減るため、製品寿命も長くなります。
使用時の環境
ボールベアリングが実際に使われる環境次第で、候補となる製品も自然と絞られます。
大量の粉じんが出る環境や水中などでは、内部にゴミや水分が入ってこないように、“シールド”とよばれる機構を備えたボールベアリングを選びましょう。
錆びてしまうのを防ぐために、ステンレス素材の製品を選ぶのもおすすめです。
このほかにも、周辺温度や腐食の可能性など、考慮すべき要素は数多くあります。
製品ごとに適した環境はまったく異なるので、この点も入念に確認しておくことが大切です。