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オムロン耐油コンポーネント 耐油実力値「4年」!~止まらない生産ライン~いかなる経路からも切削油の浸入を許さない

オムロン独自開発!自動車業界を始めとする金属部品加工の現場の声から始まった、E2ERの「耐油実力値4年」。
耐油近接センサの開発秘話、商品特長、シーン別カテゴリ、使用イメージもご紹介。

課題解決

よくあるお困りごと

  • 保全担当者様1日の仕事内容
    〔図表〕保全担当者様1日の仕事内容
    保全担当者様一日の約7割の仕事内容は
    突発的な故障対応。
    ※2018年10月現在、当社調べ。
  • コンポーネントの耐環境性課題(故障要因)
    〔図表〕コンポーネントの耐環境性課題(故障要因)
    突発的なコンポーネントの故障・原因の
    約3割が切削油。
    ※2016年6月現在、オムロン調べ。
保全担当者様
突発保全を減らし設備を安定稼働させたい

耐油実力値「4年」

従来品は故障に至る平均期間が約1~2年。オムロン耐油コンポーネント製品は切削油を4年間シャットアウトし、生産ラインの突発停止を大幅低減、稼働率が向上に貢献します。※従来比約2倍

IP67G+オムロン耐油コンポーネント評価基準で、耐油実力値4年を実証
オムロンの耐環境シリーズ耐油コンポーネントは、JIS C 0920のIP67Gに基づく評価試験に加えて、はるかに厳しい独自のオムロン耐油コンポーネント評価基準で評価試験を実施しています。
突発保全の呼び出し回数や交換頻度を大幅削減
<POINT>改善活動に時間を有効活用できます

商品ラインナップ

商品特長

最強の「材料」

ケーブルからの浸入を「フッ素樹脂」でブロック

〔特許出願中〕フッ素樹脂ケーブル外被(フッ素外被)
ケーブル外被の材料を耐食性に優れたフッ素樹脂にすることで
ケーブルの膨潤や劣化を抑え、センサ内部の基板に切削油が侵入することを防ぎます。
耐油近接センサE2ER/E2ERZ 耐油コネクタXS5□R
耐油光電センサE3ZR-C 耐油リミットスイッチD4ER-□N 耐油ファイバユニットE32-T11NF
  • 近接センサ、光電センサ、リミットスイッチ、コネクタの場合
  • ファイバユニットの場合

接合部、可動部からの浸入をオムロン独自開発の「ゴム」でブロック

〔特許取得済〕HNBR/フッ素の新素材ゴム(新素材ゴム)
耐油性に優れた水素化ニトリルゴム(HNBR)にフッ素ゴムをオムロン独自の配合で混練し、
切削油による膨潤・劣化の両方に優れた耐性を持つ新素材のゴムを開発。
接合部や可動部からの浸入を防ぐシール部に適用し、切削油による劣化破壊を防ぐことで、耐油性能を高めています。
  • 光電センサの場合
  • リミットスイッチの場合

先進の「封止工法」

ケーブル接合部からの浸入を先進の「封止工法」でブロック

〔特許出願中〕熱溶着封止工法(熱溶着封止)
フッ素樹脂ケーブルと融点が近く接合性の高いフッ素部品を熱溶着し接合。
接合界面からの切削油の浸入をブロックします。
〔図表〕熱溶着封止工法
成形封止工法+表面接着技術(成形封止/表面接着)
成形封止工法と表面接着技術を組み合わせたオムロン独自工法より、接合界面からコネクタ内部への切削油の浸入を確実にブロックします。
〔図表〕成形封止工法+表面接着技術

レーザ溶接固定で完全封止

〔特許出願中〕完全接着剤レス封止工法(レーザー溶接)
金属同士の接合部はレーザビームによる金属融解ですき間を封止。
金属と金属以外の接合部は新素材Oリングを使用し、周囲をレーザ溶接固定することで、
膨潤・劣化の可能性を持つ接着剤を一切使用することなく切削油の浸入を防ぎます。
〔図表〕完全接着剤レス封止工法

独自の「構造」

すき間を作らないオムロン独自の「構造」でブロック

  • 耐油光電センサE3ZR-C
  • 耐油コネクタ XS5□R
  • 耐油ファイバユニットE32-T11NF

ケーブル外被、接合部・可動部と並んで切削油が浸入しやすいのが異物間の「すき間」です。
オムロンの耐油コンポーネントは、独自の構造で、すき間を作らず、切削油の浸入を徹底的にブロックします。

シーン別カテゴリ一覧

〔図表〕シーン別カテゴリ一覧
商品名称/形式 適用工程 検出距離
加工工程 搬送工程
耐油近接センサ
E2ER/E2ERZ
耐油近接センサE2ER/E2ERZ 2mm(M8)
3mm(M12)
7mm(M18)
10mm(M30)
耐油
リミットスイッチ
D4ER-□N
耐油リミットスイッチD4ER-□N 0mm
耐油
ファイバユニット
耐油ファイバユニット 4m
耐油光電センサ
E3ZR-C
耐油光電センサE3ZR-C 0.5m(拡散反射形)
2.5m(回帰反射形)
30m(透過形)
耐油コネクタ
XS5□R
耐油コネクタXS5□R

使用イメージ

  • 耐油近接センサ

    シリンダの検出
    〔使用イメージ〕シリンダの検出
    切削ワークの着座検出
    〔使用イメージ〕切削ワークの着座検出
  • 耐油リミットスイッチ

    テーブルオーバーラン検出
    〔使用イメージ〕テーブルオーバーラン検出
    テーブル位置検出
    〔使用イメージ〕テーブル位置検出
  • 耐油ファイバユニット

    ドリルの刃折れ検出
    〔使用イメージ〕ドリルの刃折れ検出
    切削ワークの着座検出
    〔使用イメージ〕切削ワークの着座検出
  • 耐油光電センサ

    エンジンブロックの通過検出
    〔使用イメージ〕エンジンブロックの通過検出
    金属ワーク検出
    〔使用イメージ〕金属ワーク検出

耐油コネクタ

■センサや配線の交換をするとき
〔使用イメージ〕センサや配線の交換をするとき

コネクタ方式であるメリット:

  • ・端子台バラ線接続に比べ、省工数
  • ・配線を間違わない

更にスマートクリックであるメリット:

  • ・着脱時間を削減(1クリック、約1/8回転)
  • ・トルク管理不要で、作業の標準化が可能
  • ・内蔵されたOリングが確実に圧縮され切削油の浸入をブロックします。
〔使用イメージ〕センサや配線の交換をするとき

商品ラインナップ

開発秘話(耐油近接センサ)

開発背景

開発背景E2ERの「耐油実力値4年」のベースとなる取り組みは、自動車業界を始めとする金属部品加工の現場の声から始まっています。金属加工の現場では、切削油による機器の故障が突発的に発生すると設備の緊急停止により、機器の交換コストはもとより生産工程の稼働率低下による計画遅れでの機会損失が問題視されてきました。その突発故障頻度のトップにいるのが主に加工装置内で使われる近接センサであり、近接センサの耐油実力向上がお客さまにとっても私達にとっても積年の課題でした。
私達は、耐油コンポーネントの開発を始めるにあたり、お客さまにとって価値がある耐油実力を現状の少なくとも2倍、すなわち近接センサ故障による突発停止を1/2に低減すると設定しました。従来品の市場対応で得た故障に至る期間が概算平均1~2年の間であることをベースとして「耐油実力4年」を実現することを最終目標にして開発を進めました。
「耐油実力4年」の開発-量産にあたり、大きく分けて(1)評価技術 (2)4年設計の構造・工法開発 (3)工程品質設計 の3つに取り組み商品化を実現しました。

評価技術

評価技術
4年の耐油実力を評価するのに、4年間をかけていたのでは開発が完了しませんから、加速試験の確立が重要なテーマとなりました。シンプルに言うと市場故障の発生時間・モードと社内加速試験を紐付け、短期間で導き出すオムロン独自の加速試験をつくることです。
弊社材料部門や切削油メーカー様の協力も得ながら、材料劣化メカニズムの分析を行い、数々の切削油の中から材料攻撃性の強い特定の切削油(A1種)を原液で使用し(※)さらに常温に対して8倍厳しい55℃の温度環境で行うことで実使用環境4年を2,000h(3ヶ月弱)と短期間で検証することに成功しました。

※通常は20~30倍希釈

4年設計の構造・工法開発

4年設計の構造・工法開発
耐油実力4年は私達にとって未知の領域でしたから、まず材料や構造封止技術の選定を全構成要素に対して論理的に評価することを行いました。
そこで従来品の市場故障を分析すると、ケーブル自身もしくはケーブルと本体を封止している部分が切削油で劣化して故障につながっていることがわかりました。
反対にそれ以外の材料、構造は非常に耐久性が高いこともわかりました。
ケーブルの開発にあたり、近接センサで耐油ケーブルとして使われるPVC(塩化ビニル)、PUR(熱可塑性ポリウレタン)では、弱いものは1年以下、材料構成に工夫を施しても2~3年が限界であり、この延長上に耐油実力4年の達成はないことが明確になりました。
そこで私達は従来の方式を捨てて、フッ素系樹脂を使ったケーブルづくりへのチャレンジを開始しました。
フッ素系樹脂にはさまざまなグレードが存在していますが、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)のように耐油性が十分でも、ケーブルにすると異常に硬く、曲げて使うケーブルとしての材料に向いていない特徴があります。
そこで、耐油性と柔軟性のバランスを取るためにフッ素系樹脂で数十種類の試作を繰り返して耐油実力4年かつ、ケーブルとして使える硬さのフッ素樹脂ケーブルのカスタムに成功しました。
フッ素樹脂ケーブルは高価であり、今後はコスト低減が課題となります。
ケーブルと本体の接合封止は、従来であれば射出成形(熱と圧力)を用いた接合方式を取ってきましたが、切削油は時間をかけて接合界面からセンサ内部に浸入していきます。
そこで、ケーブルと本体構造部品を溶かして一体化することで接合の界面そのものを無くす工法を開発することにしました。
この溶着工法のポイントは、ケーブルと構造部品の双方ができるだけ近い融点であること、融点に達した時に圧力を加えることが最適なバランスで行われることにあります。
特に加工設備の加熱プロファイルと構造保持機構の最適化条件設計は試行錯誤の繰り返しで量産安定性を確立しました。

工程品質設計

工程品質設計いかに設計が優れていても、工程で実現しなければ量産化はできません。
既述の部品を使って組み立てを行い、最後に耐油性の非常に高いエポキシ樹脂で内部を充填封止する射出成形を行います。
その充填封止の信頼性を高めるために、部品組み立てのバラツキ精度を工程内で抑える工程設計に取り組みました。設備的な精度向上に加えて、従来と異なるのは、組み立て工程内で組み立て精度をカメラで検査していることです。
要求している組み立て精度は厳しく、人の目では判断できないため機械での判断を導入しました。
このように組み立て精度を高めたものを成形で内部充填することで封止の信頼性を高めて耐油4年実力を量産する技術としています。

総括

このように、耐油4年実力で苦労した点は、設計や生産技術に留まらず評価技術、工程品質設計までを俯瞰してシステムとして確立することにありました。
どれひとつ欠けても量産維持ができないので、開発・品質・工場の関係部門が源流から連携してチャレンジした開発プロジェクトだったと言えるでしょう。

オムロン商品特集

  • 圧倒的な「長検出距離」で壊れにくい近接センサ!
  • 制御盤に新たな価値をもたらす「Value Design for Panel」