技術情報

側面加工・溝加工・底面加工を1つの工具で加工する方法

【Question】

側面加工と溝加工、底面加工毎に工具を使い分けたくない

加工種類毎に、工具を揃えていくと、工具管理が煩雑になってしまいます。1本の工具で複数工程を加工できる工具はないでしょうか？

【Answer】

ネジレ、刃数違いによる工具の特徴

一般的に流通している2枚刃、4枚刃の30°ネジレ工具でも、側面加工と溝加工、底面加工を1本の工具で加工することは可能です。
ただし、2枚刃のエンドミルで側面加工を行うと、送りが上げられず、効率的な加工になりません。また、4枚刃のエンドミルで溝加工を行うと、外周の溝幅が狭いだけに、切りクズ詰まりが懸念されます。
3枚刃のエンドミルは、2枚刃、4枚刃中間の特長を併せ持っており、側面、溝加工両方に対応しています。

工具断面比較

3枚刃エンドミルは下記の理由により、ビビリ抑制と剛性を兼ね備えており、側面、溝加工双方に適応できる形状となっております。
第一に、偶数刃と違い、切れ刃の対角線上に切れ刃が向かい合わない、ビビリが発生しづらい形状となっております。
第二に、剛性を図る指標として、刃径の芯厚と、剛性を維持する形状があげられます。30°ネジレスクエア工具は、芯厚が65％、45°ネジレエンドミルは70％くらいの芯厚が目安ですが、5°の芯厚以上の剛性を形状によって実現しています。

推奨切削条件

機械、チャックは剛性のある精度の高いものをご使用ください。
切削油は被削材に適したものを選定してください。
ご使用の加工機で回転速度が上がらない場合は、送り速度と回転速度を同じ比率で下げてご使用ください。
エンドミル取り付け時の刃先の振れは0.01mm以内に抑えてください。
標準エンドミルから修正加工されたオプションメニューのエンドミルは切削条件を下げてご使用ください。
標準首逃しエンドミルは下記条件で、切れ刃端R加工エンドミルは下記条件の70%以下でご使用ください。

型番 MRC-HEM3L

■側面切削条件

被削材	機械構造用炭素鋼（S45C～S55C）		合金工具鋼（SKD、SUS、SCM）		調質鋼（35～40HRC）（HPM、NAK）		高硬度鋼（～55HRC）
刃径 D	送り速度（mm/min）	回転速度（min^-1）	送り速度（mm/min）	回転速度（min^-1）	送り速度（mm/min）	回転速度（min^-1）	送り速度（mm/min）	回転速度（min^-1）
1～1.8	860	50,000	750	44,600	590	38,200	110	12,700
2～2.8	1,010	29,400	850	24,700	680	21,500	230	9,460
3・3.5	1,460	21,200	1,240	18,000	1,000	15,900	350	9,350
4・4.5	1,490	15,900	1,340	13,500	1,060	11,900	380	7,040
5	1,570	12,700	1,380	10,800	1,410	9,500	460	5,610
6・6.5	1,870	10,600	1,530	9,000	1,190	8,000	440	4,730
7・7.5	1,860	9,100	1,490	7,700	1,170	6,800	410	4,125
8・8.5	1,870	8,000	1,470	6,800	1,170	6,000	380	3,520
9	1,750	7,100	1,420	6,000	1,120	5,300	380	3,190
10	1,650	6,400	1,380	5,400	1,090	4,800	380	2,860
11	1,660	5,800	1,390	4,900	1,010	4,300	380	2,585
12	1,660	5,300	1,400	4,500	970	4,000	380	2,310
13	1,640	4,900	1,400	4,200	950	3,700	350	2,100
16	1,430	4,000	1,220	3,400	800	3,000	280	1,700
17	1,320	3,700	1,150	3,200	710	2,800	260	1,600
18	1,250	3,500	1,070	3,000	740	2,700	250	1,500
20	1,140	3,200	950	2,700	710	2,400	210	1,300
22	1,040	2,900	890	2,500	660	2,200	200	1,200
Ad	≦1.5D		≦1.5D		≦1.5D		≦1.5D
Rd	≦0.2D		≦0.1D		≦0.1D		≦0.05D

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