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設計・製造現場のための歯車総合情報

平歯車安全計算総論

近年、歯車は歯車装置の持つ負荷容量の限界に近い状態で使用されることが増え、従来の商品設計では、求められる耐高負荷性、高性能化を満たすことが難しくなってきました。
また、装置関連における短納期生産という「変化」に対応するため、「設計時間の短縮」を要望する声も強まってきています。
ミスミでは、そうした要望にお応えするべく、一品一様の生産体制に加え、設計者の方が容易かつ効率的に商品選定を行っていただけるよう、歯車選定ソフトも開発いたします。
本論においては、おもに日本で使用されている規格・基準および参考文献に基づき、平歯車設計・選定方法を紹介させていただきます。

平歯車設計・選定方法

平歯車の設計、選定には、歯の強度計算が必要です。通常、歯の強度の計算では、歯の曲げ強さもしくは歯面圧強さを求めます。

歯車の強さとは、実は1歯1歯の強さ
歯車はうまく噛み合っていても、歯車自体の強度以上の力の伝達はできません。歯車が伝達できる力は、歯車自体の強さによって、制限されます。
歯車の動力伝達は、一方の歯がもう一方を押すことで行われます。つまり噛み合う歯がどれだけの荷重に耐えられるか、歯車の1歯1歯のピッチ円周方向の強さが重要です。

【各規格計算式における許容接線荷重式の構成】

曲げ強さの計算法

下図に示す曲げ強さ計算式の概観から、各国規格で規定されている曲げ強さ計算式の基本思想は共通したものがありますが、歯形係数・材料の許容応力の取り方に違いがみられます。
したがって各計算式や諸係数値の使用および比較検討の際は注意が必要です。
各規格計算式を大別すると、「大小歯車の基準ピッチ円上」と「かみあいピッチ円上」において許容接線荷重を計算する二方式になります。しかしそれぞれの計算式の構成は基準許容接線荷重計算法についてはほぼ共通した点が認められますが、計算式は簡単なものから複雑なものまであり、また諸係数の取り上げ方には計算式ごとの特徴が見られます。さらに同じ名称をとる係数であっても互いに逆数の関係にあるものがあり、その内容も異なっている場合があるため、各計算式間の係数は単純に比較することができません。
歯車選定ソフトではJGMA式を基づき、曲げ強さの簡易計算を行います。

規格計算式

歯面強さの計算法

計算法の比較では機械学会式において、AGMA式、BS式、DIN式、ISO案式、JGMA式の5種類の歯面強さ計算式は、許容接線荷重を「かみあいピッチ円上」と「基準ピッチ円上」で行う二方式におけることができますが、歯の噛み合い位置はいずれ設計基準点を噛合いピッチ点においている点で共通しており、諸係数の取り上げ方において計算式ごとの特徴が表れています。
歯車選定ソフトではJGMA式を基づき、歯面強さの簡易計算を行います。

規格計算式
※曲げ強さ、歯面強さは、一番小さな歯車のみを計算する
例えば、歯車を何段にも減速したいという場合、1つ1つの歯車を計算すると、とても時間がかかります。
歯車では、仮に動力が完全に伝達されると考えた場合、小歯車を計算して問題がない場合は、それより大きい歯車は問題がない場合が大半です。
つまり、実際に噛み合っている1対の歯車において、小歯車について計算すれば問題ありません。
  • ※上記の検証結果はあくまでも「理想的」な状態であり、比較的簡易な計算です。商品自体の性能を保証するものではございませんので参考としてご使用ください。
  • ※設計・選定にあたっては、選定サポート情報をご覧ください。

【参考文献】

JIS B 0003(2012)
歯車製図
JIS B 0102-1(2013)
歯車用語-第1部:幾何形状に関する定義
JIS B 1701-2(1999)
円筒歯車-インボリュート歯車歯形-第2部:モジュール
JIS B 1702-1(1998)
円筒歯車-精度等級-第1部:歯車の歯面に関する誤差の定義及び許容値
JIS B 1702-2(1998)
円筒歯車-精度等級-第2部:両歯面かみ合い誤差及び歯溝の振れの定義並びに精度許容値
JIS B 1702-3(2008)
円筒歯車-精度等級-第3部:射出成形プラスチック歯車の歯面に関する誤差および両歯面かみ合い誤差の定義並びに精度許容値
JIS B 1755(1999)
平歯車及びはすば歯車の負荷容量計算方法-材料の強度及び品質
JIS B 1703(1968)
平歯車及びはすば歯車のバックラッシ
JIS B 1759(2013)
プラスチック円筒歯車の曲げ強さ評価方法
JIS B 0160(1999)
歯車-歯面の摩耗及び損傷-用語
JGMA 6101-01(1988)
平歯車及びはすば歯車の曲げ強さ計算式
JGMA 6102-01(1989)
平歯車及びはすば歯車の歯面強さ計算式
JGMA 1102-01(2000)
平歯車及びはすば歯車の軸の平行精度
JGMA 1101-01(2000)
平歯車及びはすば歯車の中心距離の許容値
JGMA/TR 0001(2000)
新旧JIS歯車精度の規格値対比表
JGMA/TR 0002(2000)
ISO規格に準拠 平歯車及びはすば歯車の強さ簡易計算式
ポリプラスチックス株式会社
ジュラコン(R) 技術資料
クオドラント ポリペンコ ジャパン株式会社
MCナイロン技術資料
杉田稔(1965)
実用歯車設計法 日刊工業新聞社
仙波正荘(1974)
歯車伝動機構設計のポイント 日本規格協会
仙波正荘(1974)
歯車の誤差と強さ 日刊工業新聞社
日本機械学会(1979)
技術資料 歯車強さ設計資料 日本機械学会
和栗明(1982)
歯車の設計・製作とその耐久力 株式会社養賢堂版
仙波正荘(1990)
歯車の誤差 日刊工業新聞社
上野拓(1990)
歯車工学 共立出版株式会社
小林正(1993)
現場の歯車活用事典 日本プラントメンテナンス協会
中里為成(1996)
歯車のおはなし 日本規格協会

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