直動部品
- パイプシャフトは、シャフトの軸中心に貫通穴を持ったもので、次のような特徴があります。 ■パイプシャフトの特徴 シャフトの貫通穴を有効利用できる 同一径のシャフトに較べて軽い 注意点として、貫通穴はシャフトに対して同芯度は出ていないので、精度を狙ったガイド穴などには使用できません。 それぞれの特徴について事例を紹介します。
- L型シャフトホルダーには4種類のシャフト保持構造があります。ここでは4種類からの選択の参考となるよう、それぞれの特徴を整理してみます。 【図1】と【図3】は基本の形状がほぼ同じで、シャフトホルダーの種類が異なる(側方型、セパレート型)のみです。この2つの図の比較では、シャフトの挿入/抜き取りの方法が大きく異なることが分ります。その作業の差の違いが、可動テーブルの組付け手順やメンテナンスにも関係が出てきます。下表に4種の違いを比較しました。
- セットカラーはシャフト外周をクランプして保持する機能を持っています。このシャフト機能を利用して、シャフトを案内とする直動機構のストッパとしてセットカラーを利用することが出来ます。セットカラーを用いる利点は、ストッパ位置の調整が簡単にできることです。 セットカラーを用いたストッパ機構の一例を【図1】に示しました。特徴は次の内容です。
- セットカラーは、シャフトや円形支柱などの円筒形状の位置決めに便利な部品です。ここではシャフトの停止位置決めの使用事例を紹介します。 事例1(【図1】の場合) ダンパ付セットカラーによる、シャフトストッパ機構について解説します。
- シャフトを直接取り付ける構造とシャフトホルダーブラケットを用いた取付け方法を事例として、それぞれの設計のポイントとメンテナンス性などを解説します。
- シャフトの取付け方はシャフトホルダの設計できまります。シャフトホルダの設計は機構部全体の構造から組立・解体メンテナンスのし易さや、全体の大きさの制約などによります。 (1)シャフト取り付けるベースプレートの基準面 シャフトは直動体を精度よく動かすために、基準面に対して平行に取付けます。一般的には、この基準面は、シャフトを取り付けるシャフトホルダなどの固定板(ベースプレートなど)の上面と一方の端面が基準に採用されます(【図1】参照)。 (2)シャフトホルダとシャフト端部形状 シャフト端部形状は、全体の機構部構造の関係で選定します。
- 棒形状のシャフトは機械加工で最も外径精度を出しやすいシンプルな形のため、高い精度の直動案内に使用されます。ミスミのシャフトは次の特徴を持っています。
- ここでは、ボールねじの両端軸受の構造と設計のポイント、便利な調達法を紹介します。 (1)ボールねじ軸の両端支持法 ボールねじ軸の支持方法は、固定—固定、固定—支持、固定—自由の3種類がありますが、一般的には固定側と支持側の両端支持法です。それぞれボールねじにモーメント荷重、ラジアル荷重が過大に負荷されないよう軸受との組付け精度が重要です。 固定側では軸受内輪をはめあい寸法で軸に固定し、外輪を軸受ホルダー(サポートユニット)に固定して軸方向の移動をなくします。アンギュラ玉軸受を選定して、ラジアル荷重とアキシャル荷重を受けます。 支持側では、軸の温度上昇による軸の伸縮を逃がすために、軸受の保持構造をフリーにしています。(【図1】参照)
- 回転モータの回転トルク(力)や回転数(移動距離)をボールねじに正確に伝動させる場合、採用した伝動機械要素の特徴で組立作業の難易度、精度、寿命/信頼性などが変わってきます。ここでは、カップリング継手について解説します。 (1)カップリングの役割 回転モータとボールねじの2本の軸を連結させる場合、初期状態(静止状態)で如何に高精度に連結させても、可動状態では次のような連結状態の変動要因があります。 運転中のボールねじのたわみ 2本の軸の熱膨張による軸の変形と変形応力 ボールねじの支持部(サポートユニットなど)の変形 長時間使用後では軸受けの磨耗による摩擦抵抗の偏り したがって、剛体で2本の軸を連結する方式ではなく、伝動機械要素が1.〜4.の変動要因を解消させるたわみ軸継手(カップリング)を採用します。
- 転がり軸受は製品の負荷能力(寿命や定格荷重など)の計算方法が確立され、ISOに採用されておりJISもこれに従っています。しかし、リニアモーションガイドは統一規格がなく各社各様ともいえます。転動体(ベアリング)と軌道溝(レール)との接触のメカニズムは両者同じです。ここでは、代表的なリニアモーションガイドの負荷能力を現す言葉について解説します。 (1)寿命 リニアモーションガイドをある荷重のもとで連続運動(直進往復)すると、繰り返し応力のためにレール上の軌道面やベアリング表面に疲れ剥離が生じ、それ以上使用できなくなります。この状態にいたるまでの距離(または時間)で寿命を現します。 多数の同じリニアモーションガイドを同一条件で運動させたとき、90%のリニアモーションガイドが損傷を起こさずに運動できる距離(または時間)を定格寿命といい、次の式で求められます。
- リニアモーションガイドはベアリングがリニアモーションブロック内部に格納されているため、異物の侵入防止に優れており、潤滑特性の異なるグリス選定により特殊環境(クリーンルーム、耐食防錆、高温、真空など)での使用に適しています。 (1)防塵対策 リニアモーションブロック内部に異物が侵入しないように、エンドシールやサイドシールが装着されます。特に異物が多い環境では、二重のエンドシール構造を採用します。さらに厳しい性能の要求には、高防塵シールやレールカバー用ジャバラを採用します。
- 直線案内レールは、取付面基準に対して垂直方向、水平方向の2方向にねじ締付けにより固定されます。この直線案内レールは長い弾性体なので固定用ボルトの締付け力により変形を生じうねり誤差になります。ここでは、垂直方向、水平方向それぞれのねじ締付けのノウハウを解説します。 (1)レールの垂直方向の取付方法 リニアモーションガイドの垂直方向の運動精度は、2個のモードから成っています。(【図1】参照)
- スライドガイドの直線しゅう動精度は、リニアモーションブロック(スライダー)を案内するレールの精度とほぼいえます。しかし、このレール精度は、それを固定する取付面の形状から直接の影響を受けます。したがって、レール精度を忠実に得るためには、取付面の真直度・平行度などを充分な精度にしなければなりません。ここではスライドガイドの2つの取付面(レール取付面、スライダー取付面)の設計を解説します。 (1)2つの取付面の基準面高さとすみ(コーナー部)の形状(【図1】参照) 取付面にレールまたはスライダーを正確にアライメントし固定するために、取付面コーナー部に逃げを持たせるか、レールとスライダーの各C面寸法より小さなコーナー部半径に加工すること(【表1】参照)。
- ここでは、下記の特徴を持つリニアガイド(循環ボールタイプ)の基本構造を解説します。 高剛性 長寿命で高精度 静かで滑らかな作動 優れた振動特性 (1)基本構造と性能 基本構造は、1. 直線案内レール、2. ブロック、3. 転がり軸受用ボールで構成されています。この構造に、防塵性やクリーンルーム対応のためのシール用プレート類や滑動性能向上のためのボールリテーナなど、仕様に応じた各種製品が選択できます(【図1】参照)。さらに、直線しゅう動条件や荷重に対し案内精度を得るために、必要に応じて2本レール構造や複数個のブロックを採用します。
- シャフトとリニアブシュの組み合わせの直線しゅう動案内機構は、非常に多用されます。LCA(ローコストオートメーション)メカニズム例を参照して下さい。 シャフトとリニアブシュには、それぞれ取り付け加工を必要としますが、標準品(例えば、ミスミFAメカニカル標準部品)に合わせて取り付け側の構造設計をするのが低価格化のポイントです。 下記は標準部品選定時の代表的機種例と用途の特徴の解説です。
- 固体と固体が接触して動く時には摩擦力が生じます。この摩擦力は潤滑油などで適切に処置しないと、次のようなトラブルに繋がります。 固体と固体の摩擦により焼き付きを生じる。 磨耗を生じ、だんだん磨耗が激しくなる。 動力損失が大きくなる。 したがって、摩擦・磨耗をうまく制御することが重要です。 (1)摩擦について 摩擦の種類は次の2つがあります。 a)すべり摩擦 b)転がり摩擦 すべり摩擦は、平面拘束案内やスキー、そり等に生じる摩擦の形態です。【図】は古代エジプトの壁画です。大きな石像をそりで運搬している様子です。中央の1人がそりの前方に油をたらし、摩擦力を小さくしているのが解ります。
- しゅう動案内の基本構造は、移動の軌跡を拘束する案内(軸、レールとも言います)と可動体(軸受けとも言います)で構成され、次の性能が要求されます。 可動体重量をささえる。 可動力が小さく安定している。 高速運動や急停止運動の条件下でも狙った案内精度を長期間安定して保証する。 1、2は静的性能(運動を伴なわない性能)、3は動的性能(運動を伴なう性能)で、それぞれ下記項目に関する基本知識が構造設計としゅう動案内の選定時に必要です。 ここでは代表的な直線しゅう動案内、回転案内、曲線案内について解説します。

