切断砥石選定ガイド 正しい選び方で生産性を向上!
切断砥石の選定手順
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- Step1
- 寸法と形状の選定
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- Step2
- 砥材の選定
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- Step3
- 粒度と結合度の選定
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- Step4
- 最高使用周速度と回転数の確認
- Step1
- 寸法と形状の選定 使用する研削盤の種類や、大きさに合わせて砥石の寸法と形状を選定してください
研削盤の種類と砥石の寸法
それぞれの研削盤には、使用可能な最大限の砥石寸法が表示されていますので、
その範囲内の寸法の砥石を使用するようにしてください。
孔径15㎜の砥石となります。
切断砥石の形状
- 41号平型切断砥石 使用面
- 42号オフセット形切断砥石 使用面
- Step2
- 砥材の選定 加工用途・被削材から砥材を選定してください
加工の用途から選ぶ
特長 | ||||
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研削材名称 | JIS記号 | 色調 | 化学成分製法(※) | 用途 |
注※化学成分は、粗粒(F8~F220)の成分を示す ※参考文献:グラインダ安全必携-研削といしの取替え・試運転関係特別教育用テキスト、53頁 |
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焼結アルミナと粒 | - | 黒褐色 および白色 |
Al₂O₃ 80%以上 Ti.Fe.Si 焼結製法 |
オーステナイト系/ マルテンサイト系ステンレス鋼, 自由研削,重研削 |
多結晶アルミナと粒 | - | 黒褐色 | Al₂O₃ 94%以上 TiO₂+Cr₂O₃ 2~4% 微結晶と粒 |
一般鋼材自由研削,重研削 |
褐色アルミナと粒 | A | 褐色 | Al₂O₃ 94.0%以上 TiO₂ 1.5%~4% |
一般鉄鋼材料自由研削, 生鋼材精密研削 |
解砕形アルミナと粒 | HA | 灰白色 | Al₂O₃ 98.5%以上 単結晶と粒 |
合金鋼・工具鋼 ・焼入鋼材,精密研削 |
淡紅色アルミナと粒 | PA | 淡紅色 | Al₂O₃ 98.5%以上 Cr₂O₃含有 |
同上 |
白色アルミナと粒 | WA | 白色 | Al₂O₃ 99.0%以上 | 合金鋼・工具鋼・焼入鋼材 ・精密研削,軽研削 |
アルミナジルコニアと粒 | AZ | ねずみ色 | Al₂O₃ 主体 Zr₂O₃ 40%・25% |
鋼材のきず取り・バリ取り・切断 |
A系混合と粒 | AとWAとの中間用途, 特殊精密研削 |
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黒色炭化けい素と粒 | C | 黒色 | SiC 96.0%以上 | 非鉄・非金属,研削, 鋳鉄,精密研削 |
緑色炭化けい素と粒 | GC | 緑色 | SiC 98.0%以上 | 超硬合金研削 |
C系混合と粒 | ||||
A・C系混合と粒 | 切断,自由研削, レジノイド研削といし用 |
被削材から選ぶ
砥材 | 被削材 | |||||||
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一般鋼 | ステンレス鋼 | 合金鋼 | 鋳鉄 | 銅材 | アルミニウム | 非金属 | ||
A | 褐色アルミナと粒 | ○ | ||||||
HA | 解砕形アルミナと粒 | ○ | ○ | |||||
PA | 淡紅色アルミナと粒 | ○ | ○ | |||||
WA | 白色アルミナと粒 | ○ | ○ | |||||
AZ | アルミナジルコニアと粒 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
C | 黒色炭化けい素と粒 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
GC | 緑色炭化けい素と粒 | ○ | ○ | ○ | ○ |
- Step3
- 粒度と結合度の選定 被削材や作業内容によって、粒度・結合度を選定してください
粒度の選定
■粒度とは、砥粒の大きさを表します。
結合度の選定
- ■アルファベットで表し、Aに近いほど軟らかい。
- Step4
- 最高使用周速度と回転数の確認
最高使用周速度とは
「周速度」とは、砥石の外周上の点の移動速度のことで、
「最高使用周速度」とは、研削砥石が安全に使用できる最高限度の周速度のことをいい、
毎秒何メートル(m/s)の単位を表示します。
最高使用周速度に関しては、「事業者は、研削といしについては、その最高使用周速度をこえて使用してはならない。(労働安全衛生規則第119条)」とされています。
砥石の「最高使用周速度」は、それぞれの製品に記載されています。
回転数とは
研削盤には砥石軸の回転数が表示してあるが、周速度との換算は次式による。
- V = πDn / 60,000
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- V=研削砥石の周速度(m/s)
- π=円周率≒3.14159
- D=といしの直径(㎜)
- n=研削盤の砥石軸回転数(min-1)
特長別おすすめ商品
バランス品(価格・性能)
高性能品
オフセット型
砥石の基礎知識
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- 1.最高使用周速度
- 研削砥石が安全に使用できる最高限度の周速度のことをいい、研削砥石の
普通使用周速度限度は、砥石の種類毎に、また結合剤の種類毎に研削盤等
構造規格に定められています。
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- 2.破壊回転周速度
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周速度が次第に上昇してこの内部応力が研削砥石固有の強度を超えれば砥石は
破壊されます。この時の研削砥石の周速度を「破壊回転周速度」と呼び、この値を知
ることが研削砥石の安全度を確保する基礎となります。砥石軸の回転速度との関係
は次式のようになります。破壊回転周速度(m/s)=外径(mm)×3.14×破壊時の回転速度(min-1)÷60,000
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- 3.衝撃値
- 補強入りオフセット砥石は、主として側面を使用するので、回転試験の他に、側面
に対する衝撃試験が義務づけられています。
ガラス繊維などで補強したレジノイド砥石は、補強しない砥石と比較すると、
その衝撃に対する強度は数倍に及ぶほどの補強効果があります。
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- 4.平衡度(バランス)
- 平衡度の不良な砥石は、振動、片減り(平衡度の軽い側が早く減る)を
起こし、加工物の仕上げ精度が悪くなるだけでなく、極端な場合は砥石が破壊
する原因にもなります。オフセット砥石や切断砥石はバランスの取り様がないので、
振動の多い砥石は使用しないことが大切です。
研削砥石を研削盤に取り付けるには、主としてフランジが用いられます。
自由研削用グラインダーのフランジには、オフセット形砥石用以外の大部分の研削盤に使用されているストレートフランジと、オフセット形砥石専用のフランジがあります。
研削盤の砥石軸に固定される側を「固定側フランジ」といい、その反対側を「移動側フランジ」といいます。
- ■切断砥石
- ■オフセット砥石
- ■フレキシブル砥石
研削砥石の取り付けと試運転の方法
- 1.研削砥石を研削盤に取り付ける前に、取り付けることのできる研削砥石の寸法、砥石の最高使用周速度と研削盤の回転速度および結合剤の種類などの表示事項に付き、間違いなく適合しているかどうかを確認することが一番大切です。
- 2.特に、高速度用の研削盤と普通周速用の研削盤とが混在して使用している場合などは、そのひとつひとつについて砥石の周速度を確認しなければなりません。
- 3.レジノイド砥石用50m/s(3,000m/min)のグラインダにビトリファイド砥石33m/s(2,000m/min)を取り付けてしまう誤りによる事故が多いので、十分注意してください。
- 4.切断砥石には補強のない砥石や補強入りなどの種類があり、その周速度も50m/s(3,000m/min)~80m/s(4,800m/min)まで色々な種類があり、しかもエンジンカッターの様に100m/s(6,000m/min)の砥石を使用するものまであるため、砥石の選択には特に注意してください。
次のことを目視で検査する。
- 1.ひび、かけ、きずの有無
- 2.ラベルの有無、異状の有無
- 3.フランジ当たり面に異物がないか
- 4.湿分の有無(レジノイド砥石)
- 5.接着部の異状の有無(台板付、軸付砥石等)
- 6.切断砥石のひずみの有無
注意事項
- 1.砥石の取り扱いは、「ころがすな・落とすな・ぶつけるな」の三原則を守ること。
砥石の保管は、直射日光を避け、湿気のない場所で合板に平積みにすること。 - 2.砥石は、必ず製造年月日を確認し、先入れ先出しで使用すること。
- 3.研削盤へ取り付ける前に、砥石のひび・われ・かけなどの外観検査をすること。
- 4.砥石に表示されている最高使用周速度・寸法などが、研削盤に適合していることを確認すること。
- 5.フランジは、外径と接触幅が左右等しく、適正なものを使用すること。
- 6.砥石を取り付ける前に、必ず回転方向を確認すること。
- 7.砥石カバーは、常に砥石の1/2以上を覆う適正なものを使用すること。
- 8.その日の作業開始前に1分間以上、砥石を取り替えたときは3分間以上の試運転をすること。
- 9.加工物はしっかりと固定すること。
- 10.作業中は、防じんメガネ(完全防護型)、防じんマスク、耳栓などの保護具を着用すること。
- 11.火花の飛散を、しゃへい板などで防止すること。
- 12.呼吸器疾患を防止するために、粉じんの発散防止と十分な換気をすること。
- 1.落としたり、ぶつけた砥石や、検査で異常があった砥石は使用しないこと。
- 2.砥石の孔径が研削盤に適合しない場合、無理に押し込んだり、孔径の改修をしないこと。
- 3.砥石に表示されている最高使用周速度をこえて使用しないこと。
- 4.砥石との接触面に変形・きず・よごれ・さびのあるフランジは使用しないこと。
逃げ部のないフランジは使用しないこと。 - 5.砥石をフランジヘ取り付ける際は、ナットを締めすぎないこと。
- 6.切断砥石の側面を使用しないこと。
- 7.砥石カバーを取り付ける前に、砥石を回転させないこと。
- 8.砥石を無理に加工物に押しつけないこと。
- 9.回転中の砥石に手・足・指などを触れないこと。
- 10.試運転時には、砥石の回転方向の前には立たないこと。
- 11.携帯用グラインダ作業では、砥石の回転が完全にとまらないうちに、グラインダを台・床・加工物などの上に置かないこと。
- 12.引火・爆発の恐れのある場所では切断作業をしないこと。
- 13.火花の飛ぶ範囲内には立ち入らないこと。
- 14.安全教育を受けていない方は、砥石の取り替え・試運転をしないこと。